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タイトル: Study of Elastic Shocks Caused by the Fracture of Heterogeneous Materials and its Relations to Earthquake Phenomena
その他のタイトル: 不均質媒質の破壊に伴うElastic Shocksの発生及びそれに関連した地震現象の二,三の問題の研究
著者: Mogi, Kiyoo
著者(別言語): 茂木, 清夫
発行日: 1962年8月15日
出版者: 東京大学地震研究所
掲載誌情報: 東京大学地震研究所彙報. 第40冊第1号, 1962.8.15, pp. 125-173
抄録: 地殻に作用する歪力に因る地殻の急激な破壊乃至はそれに類似した現象に伴って地震が発生するという考えは,(比較的浅い)地震の原因として多くの研究者に支持されているように思われる.このような観点から地震現象を見るならば,地殻の破壊特性を明らかにすることが,地震発生の諸問題を解く重要な手掛りとなると考えられる.本論は,このような立場から,地殻の破壊に関する性質に類似すると思われる不均質媒質の破壊特性を実験的に研究して,地震現象を明らかにする手掛りを得ようと試みたものである.地殼の破壊に関する性質を特徴づける重要な要素として,まず脆性と構造的不均一性があげられる.従って,上述の目的のためには,これらの性質に着目して,破壊の諸性質を調べることが有益な結果を与えると考えられる.そこで今回は,種々の不均質度をもつ脆性媒質として,軽石,結晶質岩石,およびガラス等をとり,一様等速増加応力および一定持続荷重を加えた場合に生ずる破壊群,とくにそれに伴ったElastic Shocks(衝撃性弾性波)の発生過程およびその大きさ分布を,主として統計的に研究したが,次にその結果を要約する.(1)花園岩や軽石のような不均質脆性媒質に比較的一応な等速増加応力を加えた場合,応力の増加と共にElastic Shocksが著しく発生する.これに対して,安山岩のうちのA(K1)やガラスおよび松脂等の均質な媒質では,試験体の全面的破断に至るまで,Elastic Shocksの発生は極めて少ないかまたは全く認められない.上述のようなElastic Shocksの頻発は不均質脆性媒質の特性である.(2)不均質脆性媒質に一定持約応力を作用させた場合に,直ちにElastic Shocksが頻発し,以後次第に減少する.ただし,試料の巨視的破砕(または破断)の発生の直前に再び著しい増加を示す.一定応力下のこのような現象もまた不均質脆性体に特有である.(3)岩石試料の一定荷重のもとにおけるElastic Shocksの発生経過は,岩石のcreepの機構を明らかにする一つの手掛りを与える.即ち,transient creepの機構が高圧実験の結果から岩石内の微小破壊によると推定されたが(E.C.Robertson), Elastic Shocksの測定の結果,このような微小破壊群の発生が直接確められた.なお,一般にElastic Shocksの測定は,媒質内の破壊発生を探知する有力な手段となり得る.(4)Elastic Shocksの発生は媒質の脆性破壊に因るものであることから,次のような量をもつて不均質媒質の脆性度の尺度とすることができる.B=2Wef/S・εnそれによると,花崗岩は一般に安山岩よりも著しく脆性的である.(5)軽石,花崗岩および安山岩等の破壊に伴ったElastic Shocksの大きさ分布はほぼ一定の統計法則に従っている.即ち,その最大振巾に関しては,地震で知られている石本・飯田の統計式が適用され,結晶質岩石試料では,その指数mが1.5~2.0で一般の地震の場合に類似し,また不均質度の著しく高い軽石では,指数mが明らかに大きい値(2~3)を示す.均一応力のもとでの均質媒質では,微小破壊は発生しがたく,このような分布とは異っている(或いはmが著しく小さい傾向を示す).このように均一な応力のもとで石本・飯田の統計式が成立し,指数mが如何なる値をとるかは,媒質の不均質度に関係するもので,不均質度が著しいほど指数mの値が大きい傾向が認められる.(6)均質媒質に不均一応力が作用した場合にも石本・飯田の統計式が成り立つ場合があることから,この統計式の成立は媒質内の応力分布の不均一性に関係すると考えられる.この結果にもとづいて,二,三の仮定のもとに石本・飯田の統計式を導びいた.それによれば,指数,mは媒質内の応力分布の不均一度と共に増加する.(7)Elastic Shocksの時間間隔の頻度分布は,定常状態では指数分布を示す.任意の過程もそれをいくつかの定常的過程に分ければ,それぞれについて指数分布を示す.(8)一定持続応力のもとでのElastic Shocksの頻度は,初期の段階をのぞけば,凡そ指数函数的に減少する.従つて,一定応力状態のもとでは,一定の遷移確率をもつて発生すると考えられる.(9)Elastic Shocksのこのような時間特性は,一種の確率過程としてよく説明される.このような発生特性を定量的に調べるために,応力分布の一層明確な,巨視的破断について,破壊時間を測定して,その発生確率と応力との関係を求めた.このような試料の巨視的破断の発生も,またその局部的破壊群(即ちElastic Shocks)の発生も確率過程論的破壊論によつて説明される.この結果にもとづいて,Elastic Shocksの頻度曲線と応力状態との関係が求められる.次に,地殻が不均質脆性媒質であり,地震はその局部的破壊に伴う弾性波であると考えれば,こわらのElastic Shocksに関して得られた結果の多くが,地震の場合に適用され,次のような結果が導かれる.(10)Elastic Shocksの大きさ分布に関する上述の結果を地震に適用すれば,地震の場合に石本・飯田の統計式が成立し,指数mが1.5~2,0であることは,地殼ではある程度応力が不均一に分布していること,そしてそれが結晶質岩石に応力が作用した場合の内部の応力分布の不均一さと類似の程度(但し長さの尺度が非常にちがう)であることを示している.(11)火山地震のうちやや深い所に発生する地震では指数mが1.5~2.0程度で一般の地震と同程度の値を示すが,活動的な火山の火口直下の極く浅い所に発生する地震ではmが著しく大きい値(2~4)を示す.これは,火口直下の浅い部分では,媒質が極度に不均質状態にあり,また作用する応力も不均一に集中的に作用するためであると考えられ,一方やや深い部分では,他の地殻の部分と大差のないことを示すものと考えられる.(12)地殼に外応力が作用した場合に発生する地震の時間特性は,上述のElastic Shocksのそれに対応するものと考えられる.例えば,定常状態における時間間隔の分布はやはり指数分布で表わされる.(13)若干の仮定のもとに,地震の頻度曲線から地殼の応力の変化状態が推定される可能性がある.一例として,余震の場合を取扱つたが,余震域の応力は本震後急激に減少し,次第に一定値に近づくことが推定された.
URI: http://hdl.handle.net/2261/12045
ISSN: 00408972
出現カテゴリ:東京大学地震研究所彙報
東京大学地震研究所彙報

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