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タイトル: インターフェイス・マトリクスによる構工法計画の理論と手法
著者: 安藤, 正雄
著者(別言語): アンドウ, マサオ
発行日: 2003年2月13日
抄録: 本論文は著者が独自に定義したインターフェイス・マトリクス(IFM)を用いて,さまざま構工法計画手法を開発,実用化した成果をまとめたものである。// 序論と結論を除き,本論文は大きく三つのパートに分かれる。// 第一篇は,IFMの定義とその工程計画への応用に関する研究をまとめた第2章から第5章までの部分である。// 第二篇は第6章から第8章までで,いずれの章も多工区同期化構工法のサイクル工程に関するの各種計画手法のための理論化とツール開発を扱ったものである。// 最後の第三篇は第9章の1章のみからなる。これも多工区同期化構工法の構工法計画の開発であるが,次の点でそれまでの章とは異なっている。すなわち,第1章から第8章までは「構法」を所与としたうえで工程計画を中心とするさまざまな構工法計画への展開がはかられているが,第9章では同一の建物の設計(建物基本モデル)から「構法」をさまざまに変化させ,「工法」と連動した計画手法を完成させたという点である。本論文の基底にある認識は,構法と工法は不可分であるということにあり,各章も何らかの意味でその認識に基づいた研究となっているが,第9章はその両方を双方向に操作可能な属性と値としてまとめあげたところに大きな特徴がある。その意味で,この章は本論文の結論部といってよい。// 表1-1に示すように,本論文はIFMと名づけた行列の定義に始まり,その要素にさまざまの属性を持たせることによってより高度な理論と手法への展開をはかってきた経過を跡付けるものとなっている。// 以下,第2章から第9章にいたる各章の内容について概要を記す。// 第2章はIFMの定義を行った部分である。IFMはn個の構成材(あるいは工程要素と解釈してもよい)の関係を表す行列である。前述のように,本論文は「構法」と「工法」を結ぶことを目的に構成材と工程要素を1対1に対応付けることから出発しているから,行列の軸を構成材と見れば行列の要素として表現された「関係」は構成材間の物理的なインターフェイスであり,またそれを工程要素と見れば同じ「関係」は工程順序として読める。この点がIFMの大きな独創性である。また,IFMは対角要素を0とせずに1とすることによって,後章の手法の開発に有機的に役立っていると同時に,アロー型ダイアグラムとフロー型ダイアグラムの長所を兼ね備えた行列の表現となっている。この点も行列を応用した他の工程計画手法と大きく異なる点である。// 第3章は,ランダムな順番に並んでいるIFMの軸を工程順に並びかえるトポロジカル・オーダリングを扱った章である。工程をあらわす行列から到達可能行列を求めそれを三角行列に変換するという手法はすでに存在しているが,本論文ではIFMの特性に基づいた定式化を行った。その特徴は,後章でさまざまな工程分割,構成分割を行うために,構成材間のIFで最初に定義された要素間の関係が持つ冗長性をいっさい排除せずにトポロジカル・オーダリングを可能にした点である。また,後章での展開のために,IFMから求められるさまざまな行列を写像として用意し,工程要素(またはその群)をあらわすベクトルとの演算が可能なように準備した。// 第4章ではIFMの工程要素に職種という変数を付加し,任意のまとまりの工程要素群(=サブシステム)を抽出し,あるいは最適化する方法についてまとめた。これは第3章でIFMから定義した誘引要素の概念に主としてもとづいたものである。// 第5章は,IFMの工程要素に作業時間という変数を連動させることにより,簡易な方法で最早開始日程や最遅終了日程,クリティカル・パスなどが導かれるように手法化した結果をまとめたものである。// 第6章以降は,IFMにもとづき,繰返し型の工程を持つ建築に応用できる多工区同期化構工法の理論と手法を構築した結果をまとめたものである。この段階では,施工量や資源,工区分割,工期など構工法計画に関連する多くの変数が新たにIFMと関連付けられている。手法の基礎は工区分割をIFMの部分行列化として取扱うというユニークな方法にある。また,工程分割と作業空間分割を区別して扱うためにジョブ工区とサイト工区という概念を導入したが,このことによって工区間関係を明解に説明できるようになり,手法化が可能となった。// 本章で理論化・手法化した多工区分割同期化法についてもう一つ特筆すべき点は,これが各作業ティームの完全同期化(工程的な矛盾なく各ティームが100%稼動できること)を条件とした計画法であるために,構工法計画の目標を満足する解の存在が常に保障されており,しかも多様な解の導出が可能とされていることである。多工区同期化手法に類似するラインバランシング手法や多工区同期化よりはるかに単純なタクト工程について平準化された最適解としての工程を求める試みがなされているが,本手法はこの問題が最適化問題ではないことを明らかにし,多様な解を用意できるようにしたことに意味がある。// 第7章は,IFMに時間という変数を加え,IFMの時間的変化を表現する方法についてまとめた章である。また,行列の要素にサイト工区番号を記すことにより,基準階工程をあらわす行列の次元を増やすことなく,工程の進捗状況をあらわすIFMを作ることができた。この方法はリアルタイムの工程管理手法として実用化されている。// 一方,第8章は,ジョブ工区またはそれに含まれる工程要素についてサイト工区間のインターフェイスを考慮することにより,各ジョブ工程(工程要素)に適当な多様なサイト工区分割法を矛盾なく混在させる方法を導いたものである。これにより,多工区同期化手法のバリエーションが各段に拡張されている。// 第9章はすでに触れたように,建築の「ありよう」,すなわち構法も適宜変更することによって構工法計画の手法としての完成を提示した部分である。この場合の出発点は「建物基本モデル」と呼ぶ基本設計であってその全体的な形状,品質は不変であるから,ここでいう構工法計画は生産設計に対応することになる。その手法は,3次元のCADオブジェクトとして定義された建物モデルをブール演算によって適宜分割し(あるいは分割されたオブジェクトを合成し),そこにつくりだされた構成材=工程要素をIFMの演算と連動させることによって,構工法計画の評価を行うというものである。3次元CADと時間に関する工程計画を結んだという意味で,この手法を4次元の構工法モデリングと呼ぶ。この手法は次の点で今までにないものである。// その第一は,「関係」(IF)と量を媒介させることにより,本手法は構法,工法のいずれからも双方向的にアプローチできるようにされていることである。この点が,単にCADオブジェクトに工程順序を与えるだけの方法とは根本的に異なっている。// 第二は,この手法が慣習的な,固定的な建築の部分概念を打破して,計画対象の自由な意味分節を計画者に委ねることを許している点である。この点も,オブジェクト指向等の概念を利用した類似の試みの限界を超えるものと考える。// 建物基本モデルが計画者の介在によってさまざまに変化しつつ最終出来型に収斂してゆくプロセスに対応したこの手法は,設計の意味を再考するうえでも有効であることを最後に触れた。// 終章である第10章では,本論文の成果をまとめるとともに本研究が持つ意味について総括した。// 本研究の意味は大きく分けて次の4点にあると考える。// 第一は,「構法」と「工法」が不可分のものであり,したがって構工法という一体的な取扱いが必要なのだという認識を,構工法計画の理論と手法に具体化し得たという点である。// 第二は,多くの作業ティームの同時作業を可能にするための多工区同期化法について,完全同期化条件を明らかにしそれを前提とする手法を開発したことによって,分割された工区の資源平準化問題が最適化問題ではなく,多様な解が存在しうること,またその解を導く方法を提示し得たという点である。// 第三は,基本設計をもとにした生産設計の手順を構工法計画としてあきらかにすることにより,生産設計,基本設計の位置付けを明らかにする基礎を築いた点である。// 第四は,設計・計画において,計画者による対象の意味分節が可能であることを手法として明らかにした点にある。計画対象の構成要素はア・プリオリに存在しているのではない。部分と全体との対応は一通りではなく,全体は一意的に部分に分解されない。意味による部分の分節を随意に組み替えることなくして創造的な活動は成し得ない。著者が本研究を通じてもっとも大きな目標としていたのはこのことを明示的な理論,あるいは手法として示すことにあった。// 創造的な行為は建築をつくるプロセスの全過程にわたって存在する。その際,「部分を積み上げる」ことではなく「構想としての部分を割り付ける」ことが必要であるが,それは実践の場では日常的に起こっていることである。本研究の成果は,理論と実践のかけはしのいくばくかを築くことを意図したものである。
内容記述: 報告番号: 乙15554 ; 学位授与年月日: 2003-02-13 ; 学位の種別: 論文博士 ; 学位の種類: 博士(工学) ; 学位記番号: 第15554号 ; 研究科・専攻: 工学系研究科建築学専攻
URI: http://hdl.handle.net/2261/51157
出現カテゴリ:021 博士論文
工学

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