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タイトル: Study for the development of vaccines against cryptosporidiosis of bovine
その他のタイトル: ウシのクリプトスポリジウム症ワクチン開発に関する基礎研究
著者: Takashima, Yasuhiro
著者(別言語): 高島, 康弘
発行日: 2003年6月17日
抄録: Cryptosporidium parvum(C.parvum)は家畜、伴侶動物、ヒトに感染し下痢などの症状を引き起こす原虫で、下痢を起こす病原体としては一般的なものである。本研究の目的は、DNAワクチンや組換えウイルスベクターの手法を用いてウシのクリプトスポリジウム症ワクチンを開発することにある。//第1章(chapter1)では、C.parvum sporozoitesの免疫原性抗原である p23 を発現する組換えワクシニアウイルスを作製した。この組換えウイルスでBALB/cマウスを免疫したところ、p23抗原を認識する抗体の産生が確認できた。C57BLマウスにおいては、抗体産生は見られなかったもののp23抗原に対する遅延型過敏反応が検出された。免疫反応の違いはマウスの系統によると考えられる。//第2章(chapter2)ではp23抗原を発現するウシヘルペスウイルス1型(BHV-1)を作製し、その性状を分析した。また、ヘルペスウイルスベクターの改良を目的とし、BHV-1とオーエスキー病ウイルス(PRV)の基礎的な性状分析を行った。//Chapter2.1においてUS3遺伝子を欠損するBHV-1組換え体を作製し、US3遺伝子産物の性状を解析した。US3遺伝子はヒト単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)のUS3 protein kinaseの相同タンパクであるとされている。HSV-1においてこのタンパクは感染細胞のアポトーシスを阻害することが知られているが、本研究で作製したUS3欠損BHV-1はアポトーシス抑制に関してHSV-1で報告されているような効果を示さなかった。これらの結果は、BHV-1組換え体作成時、US3遺伝子が外来遺伝子挿入部位として使用可能であることを示唆している。US3遺伝子産物によってその発現が影響を受ける他の遺伝子も同様である。//Chapter2.2において、p23抗原を発現するヘルペスウイルス組換え体を作製した。アルファヘルペスウイルス亜科に属するウイルスの中では組換えが容易であることからPRVを本研究でのベクターとして選択し、ヘルペスウイルスベクターを用いたp23抗原の発現に成功した。このことから、ヘルペスウイルスベクターを用いてC.parvum抗原を発現させ、ワクチンとして用いることの可能性が示唆された。//PRVはマウスなど実験動物を含む多くの種類の動物に感染する。いっぽう、BHV-1の宿主域は狭くマウス体内では全く増殖しない。Chapter2.3ではPRVの糖タンパク(gBおよびgC)を発現する組換えBHV-1を作製し、この組換え体が効率よくマウスの細胞に感染しうることを示した。これらの結果から本来BHV-1が感染しにくい小型実験動物をもちいたBHV-1感染実験が可能であることが明らかになった。//Chapter2.4では、ウシのクリプトスポリジウムワクチン候補として、p23抗原を発現するBHV-1組換え体を作製した。P23遺伝子はBHV-1ゲノム中のglycoprotein G(gG)遺伝子領域に、緑色蛍光タンパクをコードするマーカー遺伝子とともに挿入した。BHV-1の組換え頻度は極めて低いが、蛍光を発するプラークを単離することで、組換え体は容易にクローニングできた。近縁のウイルスであるPRVでは、gG遺伝子領域への外来遺伝子挿入によってUS3遺伝子の発現が抑制されることが報告されているが、chapter2.1で示したようにBHV-1ではUS3遺伝子の欠損による悪影響は少ないと思われるためgG遺伝子領域を挿入部位として選択した。この組換え体をウサギに接種したところp23を認識する抗体の産生が確認された。また、この抗体はC.parvumの細胞への感染を抑制した。これらの結果から、本組換えウイルスのワクチンとしての可能性が明らかになった。//ヘルペスウイルスは外来遺伝子のベクターとして可能性をもっているが、同時に宿主免疫を抑制することも知られている。Chapter2.5ではマウスの系を用いてPRVによる免疫抑制について検討した。マウスリンパ球をPRVとともに培養したところその増殖能が抑制され、この効果は紫外線照射によって不活化されたウイルスでも同様の効果をもつことが明らかになった。これらの結果は、PRVによるリンパ球増殖抑制はウイルス遺伝子の発現によるものではなくウイルス粒子を構成する成分によるものであると考えられた。//第3章(Chapter3)ではイムノグロブリンG1(gG1)のFc領域をコードする遺伝子をクローニングし、この遺伝子産物によるアジュバント効果について検討した。Chapter3.1では、Fc領域を含む膜タンパクをコードする融合遺伝子を作成し、RK13細胞を用いて、この遺伝子産物を細胞表面に発現する細胞株を樹立した。この細胞をマクロファージとともに培養したところ、通常細胞に比べて激しく傷害された。このことはマクロファージ上のFcレセプターが細胞表面の融合遺伝子産物を認識することを示している。またこの細胞をマウスに接種したところ通常細胞を接種するより効率よく抗RK13細胞抗体を誘導できた。このことからFc領域を含む融合タンパクがアジュバント効果をもつことが明らかになった。//Chapter3.2ではp23を発現するプラスミド(pCX-p23)とp23とFc領域の融合タンパクを発現するプラスミド(pCX-p23fc)を作製し、DNAワクチンとしてマウスに接種した。融合タンパクをコードするpCX-p23fcプラスミドを接種したマウスでは、pCX-p23接種マウス群に比べて高いレベルの抗原特異的インターフェロンγ産生がみられた。このことから、p23を用いたクリプトスポリジウム症ワクチンにおいてもFc領域がアジュバントとして有効であることが示唆された。//本研究では、いくつかのワクチン候補を作製しその性状を分析した。本稿に示したように組換えヘルペスウイルスや抗体分子Fc領域とC.parvum抗原の融合タンパクによる免疫はクリプトスポリジウム症ワクチンとして効果が期待できる。
内容記述: 報告番号: 乙15716 ; 学位授与年月日: 2003-06-17 ; 学位の種別: 論文博士 ; 学位の種類: 博士(獣医学) ; 学位記番号: 第15716号 ; 研究科・専攻: 農学生命科学研究科
URI: http://hdl.handle.net/2261/51184
出現カテゴリ:021 博士論文
獣医学

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