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  1. 116 農学生命科学研究科・農学部
  2. 22 応用動物科学専攻
  3. 1162220 博士論文(応用動物科学専攻)
  1. 0 資料タイプ別
  2. 20 学位論文
  3. 021 博士論文

階層組織化理論に基づいたチビサラグモの個体数決定機構の解明

https://doi.org/10.15083/00004285
https://doi.org/10.15083/00004285
dc96fdf0-ef81-47e6-898a-1faf01d6f0f2
名前 / ファイル ライセンス アクション
K-121984.pdf K-121984.pdf (4.4 MB)
Item type 学位論文 / Thesis or Dissertation(1)
公開日 2013-01-16
タイトル
タイトル 階層組織化理論に基づいたチビサラグモの個体数決定機構の解明
言語
言語 jpn
資源タイプ
資源 http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec
タイプ thesis
ID登録
ID登録 10.15083/00004285
ID登録タイプ JaLC
著者 高田, まゆら

× 高田, まゆら

WEKO 9789

高田, まゆら

Search repository
著者別名
識別子Scheme WEKO
識別子 9790
姓名 タカダ, マユラ
著者所属
著者所属 東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学専攻
Abstract
内容記述タイプ Abstract
内容記述 生物の個体数を決定する要因は、同じ生物種であっても一様ではないことが知られている。その大きな理由のひとつとして、対象とする空間スケールによって要因が異なることが挙げられる。空間スケールの違いがもたらす決定要因の違いは、従来このように個別的に認識されていたが、本来は統合的に捉えるべきものである。個体数が決まるプロセスをこのように階層縦断的に捉えようという考えは、最近生態学の分野でも提唱されている階層組織化理論に集約される。階層組織化理論とは、生物集団を複数の階層をもつシステムとして捉え、対象とする空間レベルの性質が、隣接する上下の空間レベルとの相互作用によって決まるという考えである。こうした概念は、メタ個体群やランドスケープエコロジーの分野が深く関係しているが、階層組織化理論を明示的に意識した研究は少ない。 個体数決定機構を階層組織化理論の視点から解明するうえで、重要と思われる点は2つある。1つは、上位空間レベルから対象空間レベルに及ぶ影響が、対象空間レベルのネットワークの外から生じるものなのか、それともネットワーク構造自体から生じるものかを区別することである。前者は上位レベルからの影響が下位レベルへ一方的に押し付けられるものであり、例えば気温や降水量、海岸の波の強さなどがもたらす大スケールでの影響を挙げることができる。後者は対象レベル間の相互作用で生じる創発現象であり、これまでメタ個体群研究などで注目されてきた効果である。仕組みとしては、パッチ間で生じる生物の移動分散や物質の移動などにより上位レベルでの個体数が決定され、その効果がパッチレベルにフィードバックされることが挙げられる。2つめの重要な点は、上位空間レベルから及ぶ影響が、対象空間レベルだけでなくその構成要素である下位空間レベルの性質を変化させるかどうかに注目することである。なぜなら上位空間レベルからの影響は、対象空間レベルの環境要因とは独立に個体数を変化させる場合もあるが、環境要因と個体数との関係性自体を改変することもあるからである。以下、前者を相加効果、後者を非相加効果と呼ぶ。階層組織化理論に基づいた上記2つの視点は、生物の個体数決定機構の状況依存性を統合し、より一般的な原理を探るうえで必要不可欠なものであると考えられる。 本論文で研究対象とするチビサラグモ(Neriene brongersmai)は、主にスギ林に生息し、林床のリター上部に皿網を張る造網性クモである。造網性クモ類の個体群は、網上での採餌や休息を中心としたプロセスと網場所移動のプロセスという空間スケールが明確に異なる2つの生態的プロセスをもつ。造網場所移動時には採餌は行えず、死亡のリスクが高まることが知られている。そのため階層組織化理論をもとに個体数決定機構を解明するうえで優れた材料であるといえる。本論文では、前者のプロセスが生じる空間スケールをパッチレベル、後者が生じるスケールをランドスケープレベルと定義する。 本論文では、チビサラグモのパッチレベルの個体数が、パッチとランドスケープの2つの空間レベルからどのような影響を受けて決定されているかを、パッチのネットワークの性質から生じる創発効果の存在と、それがパッチレベルにもたらす非相加効果の存在の2点に注目して個体数決定機構を解明することを目的とする。 第2章では、野外の16個体群を対象に、ランドスケープレベルからパッチレベルの個体数に及ぶ相加効果と非相加効果の存在を明らかにし、それぞれの効果をもたらすランドスケープレベルでの環境要因を特定した。その結果、パッチレベルでの個体数はパッチ内の棲み場所量とともに増加するが、ランドスケープレベルでのパッチ密度(造網可能な場所の量)が高いほど個体数全体が底上げされるという相加効果が明らかになった。さらにパッチ密度が高いほどパッチレベルでの棲み場所量と個体数の関係性が強まるという非相加効果も検出された。相加効果には、パッチ密度が高いランドスケープほど造網場所移動時の死亡率が低下することが、また非相加効果については、相加効果による高密度化がパッチレベルでの棲み場所をめぐる競争を激化させ、密度依存的死亡を引き起こしたことが関与していると考えられた。 第2章の結果から、ランドスケープ間でのクモの死亡率の違いはパッチ密度によりもたらされていることが示唆された。そこで第3章では、ランドスケープレベルでのクモの個体数変化に注目し、チビサラグモの死亡率とパッチ密度との関係を、2世代16個体群を対象とした個体数調査から解明した。各世代において、ランドスケープレベルでの個体数の変化率(発育ステージ間)を死亡率の指標として算出し、幼体期および成体期の死亡率がパッチ密度から影響を受けているかを検証した。その結果、パッチ密度が高いランドスケープほどクモの死亡率が低下するというプロセスが明らかとなった。また、それに伴う高密度化は密度依存的な死亡を引き起こすというプロセスの存在も明らかになった。 第4章では、まず「パッチ密度が高いランドスケープほど、移動当たりの死亡率が低い」という仮説を検証するため、パッチ密度を人為的に操作した野外実験を行い、処理に伴うクモの死亡率の変化を調べた。その結果、パッチ密度が高い実験区でクモの死亡率が低いことが示された。すなわち野外のパターン解析で明らかになったパッチ密度とクモ死亡率との負の関係は、パッチのネットワーク構造がクモの移動時の死亡率を低下させることで生じたと考えられた。次に「個体群密度が高いほど造網場所をめぐる競争が強まり、その結果移動頻度が増加することで死亡率が高まる」という仮説を検証するため、個体群密度とクモの移動頻度の関係、および移動頻度と死亡率との関係を明らかにする野外実験を行った。前者の実験では、複数の高密度および低密度個体群においてクモを除去したパッチを設け、高密度個体群ほどパッチ内への移入率が高いかどうかを検証した。後者の実験では、人為的な網の撹乱によりクモの移動頻度を高める操作を行い、それによりクモの死亡率が高まるかを調べた。その結果、どちらの実験においても仮説は支持された。 以上の結果をもとに第5章では、階層組織化理論を用いて個体数決定機構を探ることの意義を中心に総合考察を行った。まず本研究から推測されたチビサラグモの個体数決定機構は、以下のとおりである。パッチレベルでの個体数は、パッチ内棲み場所量に伴い増加するが、ランドスケープレベルでのパッチ密度が高いほど、造網場所移動時の死亡率が下がることで個体数がさらに底上げされる。一方、こうした個体数増加は、造網場所をめぐる干渉型競争とそれに伴う移動率と死亡率の増加をもたらし、結果的に密度依存的プロセスを誘発する。チビサラグモの個体群は、こうしたパッチレベルとランドスケープレベルの間で生じる相互作用により維持されていると考えられた。このような個体数決定機構は、階層組織化理論で述べられている創発現象に相当するものである。 これまでさまざまな理論研究により、個体群の空間構造がもたらす創発効果の重要性が主張されてきた。特に、個体群が空間構造をもつことで生じる「生息地量と個体群サイズ」関係の非線形性は基礎的にも応用的にも注目されてきた。こうした創発現象に注目した野外研究は、分断化された森林や島など物理的に明確な境界のあるシステムを対象にメタ個体群生態学やランドスケープエコロジーの分野で活発に展開されてきた。しかし、チビサラグモの生息場所であるスギ林内のリターには、明確に区別できるいわゆるパッチ構造が存在するわけではない。造網性クモには、造網場所での定着と移動という2つの行動プロセスが存在し、それらとリターの不均一性が相まって創発事象が生じたのである。これは言い換えると、個体群の空間構造に由来する創発効果は、従来型の明確なパッチネットワーク構造をもつ個体群に限らず、空間レベルが定義されにくいシステムでも普遍的に存在すると考えられる。このような認識は、多くの野外システムにおける個体数決定機構の状況依存性の克服につながるとともに、個体群動態の予測性を高めるうえでも大きく貢献できると思われる。
書誌情報 発行日 2007-03-01
日本十進分類法
主題Scheme NDC
主題 485.73
学位名
学位名 博士(農学)
学位
値 doctoral
学位分野
Agriculture (農学)
学位授与機関
学位授与機関名 University of Tokyo (東京大学)
研究科・専攻
Department of Animal Resource Sciences, Graduate School of Agricultural and Life Sciences (農学生命科学研究科応用動物科学専攻)
学位授与年月日
学位授与年月日 2007-03-01
学位授与番号
学位授与番号 甲21984
学位記番号
博農第3087号
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Ver.1 2021-03-01 19:45:40.740062
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