WEKO3
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小児期の行動上の問題、運動の発達・ことばの発達に関する遺伝学的解析 : 共分散構造分析の双生児データへの応用
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
---|---|---|
K-214322.pdf (5.7 MB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2012-03-01 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 小児期の行動上の問題、運動の発達・ことばの発達に関する遺伝学的解析 : 共分散構造分析の双生児データへの応用 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
タイプ | thesis | |||||
ID登録 | ||||||
ID登録 | 10.11501/3190636 | |||||
ID登録タイプ | JaLC | |||||
著者 |
大木, 秀一
× 大木, 秀一 |
|||||
著者別名 | ||||||
識別子 | 7394 | |||||
識別子Scheme | WEKO | |||||
姓名 | オオキ, シュウイチ | |||||
Abstract | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 1.目的// 近年の行動遺伝学の発達により多くの心理的形質、行動には遺伝要因が関与していることが報告されてきた。双生児研究の分野でも、共分散構造分析が統計遺伝学に応用されたことで、遺伝精神医学・発達行動遺伝学はここ10年間で目覚ましい発達を遂げた。こうした背景のもと本研究では、小児期の行動上の問題および運動の発達・ことばの発達の詳しい遺伝学的解析を行う事を目的とした。//2.対象// 対象は、東京大学教育学部附属中学校に入学志願した双生児916組である。入学出願時に提出される双生児調査票の中から行動上の問題に関する7項目(「寝言」「寝ぼけ」「夜驚」「爪かみ」「吃音」「夜尿」「チック」の頻度)、運動の発達・ことばの発達に関する6項目(「首のすわり」「おすわり」「はいはい」「つかまり立ち」「ひとり歩き」「片言をいう」の推定開始時期)を分析に用いた。この調査票をもとに母親医学面接が実施され、記載の確認が行われている。卵性診断は筆者らが開発した卵性診断用質問紙票および各種遺伝マーカーが用いられた。卵性の確定した双生児の内訳は一卵性双生児(MZ)609組(男男279組,女女330組)、二卵性双生児(DZ)272組(男男86組,女女84組,異性102組)の合計881組である。//3.方法// 量的遺伝学理論ではある形質の分散の構成要素を、2種類の遺伝要因と2種類の環境要因にわける。遺伝要因の構成要素は相加的遺伝要因(A),優性遺伝要因(D)である。前者は相加的に働く遺伝要因であり、優性効果を示すのが優性遺伝要因である。環境要因に関しては共有環境要因(C)と非共有(個人特異的)環境要因(E)を考える。前者は同一家庭内で養育されることで互いに共有する環境であり、後者は個人に特異的に働く環境要因である。共分散構造分析により、具体的に測定された変数を支配する上述の4つの潜在変数の関与の程度を推定できる。4つのパラメーターを数種類含む遺伝モデルを構築し、その間の関係を線形方程式として組み立てその解を最尤法により推定する。質的形質(行動上の問題)に関しては、相関係数(tetrachoric correlation)行列を、量的形質(運動の発達・ことばの発達)に関しては、分散/共分散行列を用いた。// 今回の解析に用いた遺伝モデルは本質的には[1]1変数に関するモデル、(1)Univariate Genetic Model、(2)General Sex-limitation Model、(3)Scalar Sex-limitation Model、[2]多変数に関するモデル、(1)Simple Genetic Factor Model、(2)Genetic Cholesky Decomposition Model、(3)Independent Pathway Model、(4)Common Pathway Model、[3]2変数間の因果関係に関するモデル(1)Reciprocal Causation Model、(2)Genetic Bivariate Modelに集約される。解析には、汎用ソフトPLELIS2,LISREL8を用いた。//4.結果(1)行動上の問題に関する解析結果// 最適と考えられたモデルは以下の通りであった。「吃音」「チック」では、全データを説明しうるモデルは得られなかった。それ以外はA,C,Eを基本成分として含むモデルが適合した。Scalar ACE Modelが適合した「寝言」「夜驚」「爪かみ」では、男女で差は見られなかった。遺伝率(Aの割合)が大きい形質は、「寝言」「寝ぼけ」「夜驚」であり、「寝ぼけ」では女子の遺伝率が男子の遺伝率よりも10%以上大きい値を示した。「夜尿」に関しては、全体的に見ると女子では共有環境要因の関与が60%程度であったが、男子では相加的遺伝要因、共有環境要因の関与がそれぞれ45%前後と同程度であった。// 「夜尿」を年齢別に見ると、男子で年齢による遺伝率の差は小さかったが、女子では年齢とともに遺伝率が上昇する傾向が見られた。3歳、4歳では男子の遺伝率が、5歳以降では女子の遺伝率が大きかった。// 睡眠時の行動上の問題のMultivariate Genetic Modelを解析した結果、男子ではIndependent Pathway AE Modelが、女子ではIndependent Pathway ACE Modelが適合した。男女ともに、形質に特異的な要因の関与が大きかった。男子では、形質特異的な相加的遺伝要因の関与は「夜驚」「夜尿」でおよそ50%、「寝言」「寝ぼけ]で30%程度であった。「夜尿」に関しては、共通要因の関与は小さかった。女子では、形質に特異的な相加的遺伝要因の関与は「寝言」で35%程度、「夜尿」で50%、「寝ぼけ」「夜驚」では0%であった。共通要因に関しては、相加的遺伝要因の割合は「寝言」で27%、「寝ぼけ」で38%、「夜驚」で25%、「夜尿」では0%であった。「夜尿」に関しては男子と同様に、共通要因の関与が小さかった。// 小児期の行動上の問題となる2形質間のTetrachoric Correlationを算出した結果、睡眠時の行動上の問題の間に強い相関が見られる傾向にあった。Bivariate Genetic Modelの解析の結果、男子では「寝言-夜尿」「寝ぼけ-夜驚」のCholesky ACE Modelで比較的よい適合を示した。女子では「寝言-夜尿」「寝ぼけ-夜尿」のCholesky ACE Modelでよい適合を示した。//(2)運動の発達・ことばの発達に関する解析結果// Univariate Genetic Modelの解析の結果、男女ともに全ての項目でACE Modelが採択された。全般的に共有環境要因の影響が最も大きく、相加的遺伝要因の関与は30%前後が多かった。非共有環境要因の関与の程度は数%にすぎなかった。Sex-limitation Modelの解析の結果、運動の発達に関してはScalar ACE Model、Common Effects ACE Model、Sex-limitation ACEA’Modelが比較的よく適合した。「片言をいう」に関しては、ACEA’m Modelは良く適合したが、ACEA’f Modelはまったく適合しなかった。「首のすわり」と「はいはい」では男女差が小さく、共通環境要因の関与が大きかった。「つかまり立ち」「ひとり歩き」「片言をいう」では男子の遺伝率が女子よりも10%以上大きかった。// 運動の発達に関するMultivariate Genetic Modelの解析の結果、男女ともに全形質を統一的に説明しうるモデルは得られなかった。運動の発達に関する2形質間の相関係数を算出した結果、乳児期後半以降に出現する形質間に比較的強い相関が見られた。モデルフィッティングの結果、特に女子の「首のすわり-はいはい」「首のすわり-つかまり立ち」「首のすわり-ひとり歩き」「はいはい-ひとり歩き」でよい適合を示した。//5.考察// 行動上の問題に関しては全般的に相加的遺伝要因の関与が大きかった。「寝言」「夜警」などが遺伝規定性の強い形質である事が判明した。「夜尿」「寝ぼけ」では遺伝要因に性差が認められた。「夜尿」に関しては男女ともに共有環境要因の関与が強く、その治療にあたっては環境要因に訴える事が有効であると考えられた。「夜尿」を年齢別に解析した結果、女子では年齢とともに遺伝既定性が強くなる傾向にあった。女子において5歳以降でも「夜尿」が継続する場合には、遺伝性を考慮する必要がおると思われた。「吃音」「チック」では適合するモデルが得られなかったが、類似度そのものはMZがDZよりも高く遺伝要因の関与を示唆した。// Multivariate Genetic Modelの解析の結果、睡眠時の行動上の問題となる形質には特異的に働く要因とともに複数の形質に共通に関与する要因が存在する事が明らかになった。これは、各種の疾患の併発を考える際に考慮すべき事実であると考えられた。// 運動の発達に関しては各項目ともに共通環境要因の関与が大きい事が判明した。2つの形質間ではモデルが適合したものの、全体を説明するモデルは得られずさらなる検討が必要であると考えられた。// ことばの発達に関しては、解析項目が1つであるため断定的な事はいえないが、男子に特異的に働く遺伝要因(A’m)の存在が示唆された。ことばの発達の性差を考える際に考慮すべき点であると思われた。// 以上の結果は、これまで経験的に記述されてきた小児期の行動上の問題、運動の発達・ことばの発達に関する遺伝要因/環境要因の関与を統計学的に裏付けるものである。今後はそれぞれの具体的な要因とその関与の程度を探索する事になる。 | |||||
書誌情報 | 発行日 1999-04-28 | |||||
日本十進分類法 | ||||||
主題 | 467 | |||||
主題Scheme | NDC | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(保健学) | |||||
学位 | ||||||
値 | doctoral | |||||
学位分野 | ||||||
Health Science (保健学) | ||||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | University of Tokyo (東京大学) | |||||
研究科・専攻 | ||||||
Graduate School of Medicine (医学系研究科) | ||||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 1999-04-28 | |||||
学位授与番号 | ||||||
学位授与番号 | 乙第14322号 | |||||
学位記番号 | ||||||
第14322号 |