WEKO3
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低速多価イオンによるプロトンスパッタリングの研究
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2012-03-01 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 低速多価イオンによるプロトンスパッタリングの研究 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
タイプ | thesis | |||||
ID登録 | ||||||
ID登録 | 10.15083/00002812 | |||||
ID登録タイプ | JaLC | |||||
著者 |
黒木, 健郎
× 黒木, 健郎 |
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著者別名 | ||||||
識別子 | 7408 | |||||
識別子Scheme | WEKO | |||||
姓名 | クロキ, ケンロウ | |||||
Abstract | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 大きなポテンシャルエネルギーをもった多価イオンが物質の表面に近づくと、表面からプロトンが多価イオンの強い価数依存性をもって放出されることが知られている。この価数依存性は多価イオンの運動エネルギーを小さくした低速の多価イオンにおいては非常に強くなる(価数の5 乗程度)ことが報告されている。この強い価数依存性は古典的障壁乗り越えモデル(COB モデル:Clasical Over the Barrier)によって説明できることが示されている。本研究では、多価イオンによるプロトンスパッタリングを研究するために、清浄表面実験が可能な超高真空実験槽を製作し、放出プロトンの二次元分布が測定できるTOF-2DPSD (Time Of Flight - 2Dimentional Position Sensitive Detector) 測定装置を開発して、低速の多価イオンを固体表面に衝撃し、放出プロトンの収量、二次元分布、放出エネルギーなどを測定した。//まず、本研究では4 価から12 価までのXe イオンを、超高真空中の熱処理によって再構成されたSi(100)-(2×1)清浄表面から作成したSi(100)-(2×1)H、Si(100)-(1×1)H 表面に衝撃したときのXe イオン1 個あたりのプロトン収量を測定した。実験結果を図1 に示す。図にはプロトンと同時に測定されたSi+イオン収量も表示している。プロトン収量はSi-(2×1)H、Si-(1×1)H 表面ともにq5 という非常に強い価数依存性を示していることがわかる。一方Si+イオン収量には価数依存性はみられない。同じようなプロトン収量の価数依存性はKakutani らが未処理表面に関して報告しており、その生成機構をBurgdorfer らはCOB モデルによって説明している。本研究におけるSi(100)-(2×1)清浄表面から作成したよく定義されたSi 表面からのプロトンスパッタリングにおいても、多価イオン衝撃によるプロトン生成機構はCOB モデルによって説明されると考えられた。//また、TOF-2DPSD 装置によって多価イオン衝撃による二次イオンの放出二次元分布とその放出エネルギーを測定した。図2 に色々なSi 表面からの放出プロトンの二次元分布を示す。Si-(2×1)H 表面からSi-(3×1)H、Si-(1×1)H 表面と表面上の水素原子数が増えると放出プロトンの二次元分布も広がっていた。Si-(2×1) H2O 表面においては表面上の水素原子数はSi-(2×1)H 表面よりも少ないが、放出プロトンの二次元分布は非常に大きく広がっていた。2DPSD 装置で測定される二次元分布は放出プロトンのSi 表面に平行なエネルギー成分を現している。Si 表面に垂直なエネルギー成分は放出プロトンのTOF から求めた。さらに、超高真空中の熱処理によって再構成されたSi(100)-(2×1)清浄表面に水素、重水素、水を吸着させて表面状態を変化させて、多価イオン衝撃によるプロトン収量の表面に対する依存性を測定した。図1 においてもSi-(2×1)H とSi-(1×1)H 表面では表面に吸着した水素原子数が2 倍程度しか変化していないのにプロトン収量は10 倍程度増加している。Si+イオン収量も3 倍程度増加している。Si(100)の各表面を3keV のXe8+イオンで衝撃したときのプロトン収量、Si+イオン収量、水素被覆率、放出プロトンエネルギー、表面Si+の寿命の一欄表を表1 に示す。表において(2×1)H、(3×1)H、(2×1) H2O の各表面は原子的に平坦な表面であり、(1×1)H と(1×1)D 表面は原子的にラフな平面であるとSTM の観測によって理解されている。//プロトン収量は(2×1)H と(3×1)H 表面では表面上の水素原子数と同程度であるが、同じように原子的に平坦な(2×1)H2O 表面においては表面上の水素原子数は(2×1)H 表面の8 割弱であるにもかかわらずプロトン収量は(2×1)H の3.5 倍となっている。原子的にラフな(1×1)H表面においては表面上の水素原子数は(2×1)H 表面の2 倍程度であるのにプロトン収量は(2×1)H の10 倍程度になっている。3keV のXe8+イオンで衝撃したときに表面上で生成されるプロトン量が表面上の水素原子数に対して一定であると仮定すると、これらのプロトン収量の変化は生成されたプロトンの中性化確率の違いを表していると考えられた。原子的に平坦な(2×1)H2O 表面においてプロトンの中性化確率が抑制されるのは(2×1)H2O 表面のSi-OH ボンドの水素がO 原子の上に存在するためにSi 表面からの距離が大きいためであると考えられる。(1×1)H 表面の水素原子に関しては、表面の凸凹によってSi の表面からの距離が実効的に大きくなっているためであると考えられた。原子的に平坦な表面ではSi+イオン収量は、プロトン収量とは対照的にほぼ同じであり、ラフな表面では増加していた。//電気的性質が同じで質量だけが異なる重水素吸着表面、(1×1)D 表面からの重水素イオン収量を測定して(1×1)H 表面からのプロトン収量を比較すると生成されたプロトンの生き残り確率を求めることができる(表1)。この確率から計算すると、Si-(1×1)H 表面においては、3keV のXe8+イオン1 個の衝撃で 0.9 個程度のプロトンが生成されていることになる。また、このプロトン収量と重水素イオン収量の比からプロトンの表面でのイオン寿命(0.6fs)を求めることができた。これは、後述する放出プロトンエネルギーから求められるSi+の表面でのイオン寿命(11fs)に比べて非常に短くなっていた。 | |||||
書誌情報 | 発行日 2004-02-27 | |||||
日本十進分類法 | ||||||
主題 | 428 | |||||
主題Scheme | NDC | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(学術) | |||||
学位 | ||||||
値 | doctoral | |||||
学位分野 | ||||||
Humanities and Social Sciences (学術) | ||||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | University of Tokyo (東京大学) | |||||
研究科・専攻 | ||||||
Graduate School of Arts and Sciences (総合文化研究科) | ||||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2004-02-27 | |||||
学位授与番号 | ||||||
学位授与番号 | 乙第15915号 | |||||
学位記番号 | ||||||
第15915号 |