2024-03-28T10:19:07Z
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2022-12-19T04:18:23Z
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反転する「私」から鏡としての「私」へ : 川端康成「浅草紅団」の方法
平井, 裕香
162290
「浅草紅団」
川端康成
応答的な関係
語り
対称的な二人の女性
「浅草紅団」は、川端康成の2作目の長編連載小説であり、その方法に関しては語りの複雑さに加え、語り手「私」の二重性、他テクストの引用の多さという3点が主に指摘されてきた。本稿は、これら3点が相互にかかわり合いながら、同作を幾重もの応答的な関係の網の目として立ち上げ、昭和初めの浅草の混沌を伝えていることを示す。2節では、語る「私」と語られる「私」の距離の揺らぎが、浅草へ案内する/されるという反転を「私」にもたらして、「私」の偏った認識として語りを相対化するように読者を促すことを論じる。3節では、春子の言葉が、作中劇を書く者から見せられる者に「私」を転じ、弓子と赤木の対決と春子ら紅団員と「私」のやり取りという、次元の異なる出来事を繋げることを明らかにする。最後に、同作後半では、語る「私」が「私」以外の、語られる出来事を経験している人物との距離を変えつつ、彦の挿話と春子の挿話の双方に鏡を登場させて、それらを結んでいることを述べる。一見すると対照的な同作前半と後半の語りに、語られる出来事の重層的な理解を読者に求めるという一貫性を認めることで、川端が戦争と敗戦を経て保守化するという物語を再検討に開きたい。
言語態
departmental bulletin paper
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
2020-03-01
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言語情報科学 = Language and information sciences
18
141
157
AA11831019
13478931
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