{"created":"2021-03-01T06:18:40.874619+00:00","id":2082,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"9245ff41-4b61-4095-b333-cde7bbecac45"},"_deposit":{"id":"2082","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2082"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00002082","sets":["75:301:302","9:233:280"]},"item_7_alternative_title_1":{"attribute_name":"その他のタイトル","attribute_value_mlt":[{"subitem_alternative_title":"走査トンネル顕微鏡と昇温脱離法によるTiO2(001)表面の原子レベル構造と分子吸着および反応性に関する研究"}]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2003-04-07","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2003-04-07"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo (東京大学)"}]}]},"item_7_degree_name_20":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(理学)"}]},"item_7_description_5":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"1.序//金属酸化物は広範な物性を示す機能性材料であり、触媒、センサー、電子デバイス、磁性材料、顔料、耐腐食・防汚・抗菌性被膜材料をはじめとして様々な工業的用途に応用されている。その中でも特に触媒やセンサーとしての化学機能は重要であり、高活性・高選択性を備えた新規触媒や高感度ガスセンサーの実現のためには金属酸化物表面の構造と、その気体分子との相互作用を原子・分子レベルで理解することが必要不可欠となる。典型的な遷移金属酸化物である二酸化チタンは触媒担体としての広い用途に加えて光触媒材料としての特性などにより近年大きな注目を集め、研究数も飛躍的に増大している。しかしながら、表面科学的アプローチによる研究例のほとんどは最安定表面を用いたものに偏っているのが現状である。そこで私は博士課程において、二酸化チタン単結晶表面上で高い化学反応活性を持ち、なおかつ分子の吸着・反応場として用いるに足る新たな表面構造の作製と、その特性の解明を目的として、TiO2(001)表面を用いて走査トンネル顕微鏡(STM)および昇温脱離法(TPD)による研究を行った。酸化物触媒表面において金属原子の配位環境は化学反応活性を左右する重要な因子の一つであり、低配位金属カチオンほど高い活性を持つと考えられている。TiO2(001)表面はバルク終端構造においては表面のTi 原子が全て4 配位で露出する表面である(バルク中のTi は6 配位)。過去の低速電子回折(LEED)の研究ではアニール温度により2 種類の構造が現れることが示されたものの、どちらもファセット化し平坦性が失われ、原子レベルで制御できない構造であると信じられてきた。本研究では、TiO2(001)上に平坦でかつ高活性を持つと予想される4配位Ti 原子が配列した新規表面構造を作製し、高分解能STM観察することに初めて成功した。また、酢酸とメタノールの吸着と反応についてSTMとTPDによって調べ、この表面が高い反応活性を持つ表面であることを明らかにし、表面に存在する2 種類の活性サイトのそれぞれの特性を原子レベルで明らかにした。また、試料調製条件を変化させることで起こる自己組織化的ナノ構造形成という現象を見出した。//2.実験//STM 観察はイオン銃、LEED 装置を備えた超高真空STM(JEOL-JSTM4500 VT)を用い、電解研磨により先鋭化したW 探針を用いて室温で行った。TiO2(001)表面は鏡面研磨した単結晶試料を空気中2 時間焼成後、Ar+スパッタリングと真空下900 K の加熱を繰り返し清浄化した。昇温・降温速度は7-10 K/s とした。TPD 測定はイオン銃、質量分析計を備えた超高真空槽(到達真空度2×10-8 Pa)を用いて、昇温速度0.6-8 K/s で行った。//3.結果と考察//3.1 TiO2(001)表面構造のSTM 観察//TiO2(001)表面を、条件を様々に変化させてAr+スパッタリングとアニールを行い、そのときに形成される表面構造をSTM により観察した。図2 は、超高真空下1050 K、300 s でアニールしたTiO2(001)面のSTM 像である。[110], [110]方向に伸びる列構造が3 次元的に組み上がった格子状の構造が観察された。このときLEED では過去に報告されている2 種類の回折パターンのうち、高温phase と同様のパターンが観察された。アニール温度が970 K, 1160 K ではそれぞれ数10 nm オーダーのファセット構造と粒子状構造が表面を覆った。図2b-e は[110], [110]方向の列が交差する場所での高分解能STM 像である。それぞれの列の斜面は階段状になっており、階段の一段の高さは0.30 nm であり、また、交差する列との段の高さの差は0.15 nm であった。原子分解能STM像では段の上には3 つの輝点が0.65 nm 間隔で並んでいるのが観察され、さらにこの階段状の格子構造が0.65 × 1.30 nm2 の単位格子により形成されていることがわかった。それぞれの列構造の平均の斜面は(114)面に相当する。また、図2c で観察された3 つの輝点のうち、中央の輝点が両側のものよりも輝度が大きいことから、これらTi 原子が立体的あるいは化学的に異なる配位環境にいることが示唆される。//試料バイアスが正の条件でのSTM 観察においては、フェルミ準位付近の空軌道準位の2 次元分布が画像化されるため、図2 で観察された輝点は表面に露出する配位不飽和Ti 原子であると考えられる。過去に提案されているバルク終端構造モデルはSTM 像と合致しないため、図2 のSTM像を説明することのできる新たな表面構造モデルが必要となる。構造モデル構築に当たっては試料の調製条件などから考え得る以下の4つの前提をおいた; 1). STM 像の輝点1 つが配位不飽和Ti原子に対応: 2). 酸素原子はバルク位置のままでTi 原子はバルク位置もしくは格子間空隙位置を優先: 3). 単位格子当たりの露出Ti 原子の配位数の和をできるだけ大きくする: 4). O/Ti の比は2 以下。これらの条件を満たすよう作製した構造モデルを図3 に示す。この構造はバルク終端(114)表面上にTi7O12 の組成を持つsuboxide 列構造を配置することによって形成した。STM 像で観察される3 つの輝点の輝度の違いを立体的、化学的配位環境の双方によるものと考え、中央のものを4 配位Ti 原子、両側のものを0.15 nm 低く位置する5配位Ti 原子と帰属した。次にこの階段状格子構造の化学特性を調べるために、酢酸とメタノールの吸着と反応について検討した。//3.2 TiO2(001)表面上の酢酸およびメタノールの吸着と反応//TiO2(001)階段状格子構造上の酢酸とメタノールの吸着・反応についてSTM, TPD によって調べた。図4a, bに室温で酢酸に露出前後のSTM 像を示す。酢酸に露出後、解離吸着したアセテートが輝度の高い新たな輝点として観察された。//TiO2(001)表面からの酢酸の昇温脱離においては脱水反応によるケテン(CH2CO)、分解反応によるCH4、CO の生成が確認された。5 配位のTi 原子のみが露出するTiO2(110)-(1x1)表面についても酢酸のTPD を測定したところ主生成物としてCH2CO が生成した。このことから、TiO2(001)表面では TiO2 (110)の5配位Ti と同様の性質を示す反応活性サイトのほかに、分解反応の進むさらに高活性なサイトが存在することが示唆される。//TiO2(001)表面を室温でメタノールに露出すると、メトキシと考えられる新たな輝点が観察された。このとき低露出量ではメトキシは中央のTi 原子に優先的に吸着した。TiO2(110)表面の5配位Ti 上ではメタノールの解離吸着が起こらないことから、解離吸着の活性点となっている中央のTi 原子が高活性な4 配位Ti であることを裏づける。高露出量では5 配位Ti 原子上に吸着したメトキシも観察された。これは中央Ti 原子からのホッピング移動によるものと考えている。2 種類のTi 原子の化学特性の違いは昇温反応においても顕著に現れた。低露出量では530 K で分解反応によるCH4 が選択的に生成し、高露出量では480K でのメタノールの再結合脱離が見られるようになった。図5a, b のSTM 像とあわせ、中央のTi 原子が分解反応の進む高活性サイトであり、両側のTi原子は再結合脱離のみが起きる穏やかな活性サイトであることが明らかになった。//3.3 TiO2(001)表面上のナノスケール自己組織化//TiO2(001)表面をAr+スパッタリング後、条件を変化させて超高真空加熱することにより、図6 のようなピラミッド型構造や、平行なsuboxide rowからなる平坦なテラス状の構造が現れた。原子分解能STM 像より、これらの構造は階段状格子構造と等しい単位格子によって形成されていることがわかった。試料の清浄化条件やバルクの還元の度合いによって決まる表面組成がこれらの構造形成の要因であると考えた。また、Ar+スパッタリングと超高真空加熱を繰り返すことによって還元が進んだ試料表面上に形成した階段状格子構造上において、クリーニング時のアニール温度より低い390-660 K での再加熱により直径0.9-6 nm のナノ粒子が成長する現象を見出した。//4.結論//TiO2(001)表面に、平坦で活性サイトが配列した階段状格子構造を作製し、表面原子構造を高分解能STM観察することに初めて成功した。また、階段状格子構造の化学反応特性について、酢酸とメタノールを反応分子として用いてSTM 観察とTPD 測定を行い、この表面が従来報告された他のTiO2 低指数面とは異なる高い化学反応活性を示すものであることを明らかにし、この高活性サイトが4 配位Ti 原子であると結論した。高反応活性サイトが規則的に配列し、なおかつ吸着・反応場として用いることのできるこの表面構造は、TiO2 触媒表面における化学現象の解明に重要な役割を果たすものであると考える。また、階段状格子構造の単位格子による自己組織化的なナノレベル構造の形成はナノテクノロジーの発展に寄与することが期待される。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第15649号"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"6067","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"手老, 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