{"created":"2021-03-01T06:18:41.555312+00:00","id":2093,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"71b69b12-2bf0-4b6b-8156-e908b675761c"},"_deposit":{"id":"2093","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2093"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00002093","sets":["6:291:292","9:233:280"]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2003-07-17","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2003-07-17"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo 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潤滑膜の修復速度や修復時間の違いによって潤滑性は異なる。修復速度が大きい方が、潤滑性は大きい。(2) エッチング部の潤滑膜厚の経時変化を修復モデルに基づいたモンテカルロ法を用いた計算結果と対比して、実験結果と計算結果が一致していることにより修復モデルの妥当性を検証した。//5.磁気ディスク潤滑膜の摩擦移動モデルの検証//浮上量が小さい磁気ヘッドで磁気ディスク面をシーク試験したときの潤滑膜厚減少の実験値と計算値との一致から、摩擦移動モデルの妥当性を検証した。また、潤滑剤の種類が異なる場合と磁気ディスクの面粗さが異なる場合についてCSS試験とドラッグ試験を行った実験結果とモンテカルロ計算結果との比較から検証し、摩擦移動モデルが妥当であることを検証した。その結論として、次のことが導かれた。(1) 磁気ディスクの突起高さが大きくなると接触面圧が増加し、摩擦力が増加するため、潤滑膜の膜厚減少速度は急激に大きくなる。(2) 潤滑膜の膜厚減少速度は潤滑膜の吸着エネルギが増加するに従い小さくなる。(3) 浮上量が小さい磁気ヘッドで磁気ディスク面をシーク試験したときの潤滑膜厚減少の実験値と計算値とが一致していることから、摩擦移動モデルの妥当性を検証した。//6.磁気ディスク潤滑膜のスピンオフモデルの検証//潤滑膜のスピンオフ速度の温度依存性・回転数依存性・吸着エネルギ依存性を実験で示した。次に、実験結果とスピンオフモデルに基づくモンテカルロ計算結果との比較から、スピンオフモデルの妥当性を検証した。その結論として以下のことが導かれた。(1) 環境温度が高温であるほど、磁気ディスクの回転数が高速回転であるほど、潤滑膜の吸着エネルギが小さいほど、スピンオフは大きいことを実験により確認した。(2) スピンオフモデルに基づくモンテカルロ計算の計算結果は、実験結果と測定値のばらつきの範囲で一致している。この結果よりスピンオフモデルの妥当性を検証した。//7.潤滑条件と潤滑膜設計手法の提案・検証//潤滑膜が潤滑性を維持するための条件として潤滑条件を提案した。潤滑条件は、スピンオフ・摺動・修復によって潤滑膜の被覆状態が変化しても、表面被覆率θが1以上となる条件である。潤滑条件は下記の式で表される。//-∫[0,tcont](∂h/∂t)sdt≦∫[0,tuncont](∂h/∂t)rdt//hspin(t)+∫[0,t](∂h/∂t)sdt+∫[0,t](∂h/∂t)rdt≧hc//次に、潤滑条件を満たす潤滑膜を設計するための手法として、潤滑膜設計手法を提案した。潤滑膜設計手法は、以下の通りである。(1)保証時間経過時の潤滑膜厚 hspin (trot)を求める。(2)潤滑膜厚を変数として磁気ディスクの摩耗試験を行い、保護膜が摩耗しない最低の潤滑膜厚を求め、これを許容膜厚hcとする。そして、次式を満たすことを確認する。//hspin(trot)≧hc//(3)潤滑膜設計の対象とする動作(CSS動作やシーク動作)を潤滑膜がスピンオフしない時間tの間行う。(4)試験後の潤滑膜厚h(t)を測定し、結果を次の3つの場合にあてはめ、修復と摺動による潤滑膜厚変化のバランス状態を確認する。//(1)hspin (trot)h (t)の場合:-∫[0,t](∂h/∂t)sdt>∫[0,t](∂h/∂t)rdt//試験結果が(1)、(2)に当てはまる場合、潤滑状態を満足する。試験結果が(3)に当てはまる場合、磁気ディスク装置の稼働中に潤滑膜厚が減少するため、潤滑条件を満足しない。この場合は、潤滑剤の種類や保護膜質を見直し吸着エネルギを調整し、再度上記の設計を繰り返すことで最適化を図る。さらに、潤滑膜設計手法に基づき設計した磁気ディスクは潤滑条件を満たしていることを、検証した。//8.潤滑剤供給方式の提案//潤滑剤供給方式を提案し、実験により検証した。その結果、潤滑剤供給方式は、磁気ディスクの潤滑膜厚が少なくなった部分に潤滑剤ガスを吸着させることで、スピンオフ量を少なくし修復速度を増加させるため、潤滑条件を満足させる1つの手段として極めて有効であることが上記の実験結果で確認された。//9.本研究成果の適用範囲と他分野への応用例//本研究で提案した潤滑膜設計手法がHDIの摺動条件に近い摺動条件における潤滑膜に応用できることを、マイクロマシンを例として示した。//10.結論//本研究では、AFM 観察手法により、磁気ディスク潤滑膜の被覆状態を明らかにし、修復・摺動・スピンオフによる潤滑膜の被覆状態変化機構を潤滑剤分子の挙動に基づき解明した。その結果から、潤滑膜が潤滑状態を維持するための条件として、潤滑条件を明らかにした。また、潤滑条件を満たす潤滑膜を設計するための実際的な手法として潤滑膜設計手法を提案した。この潤滑膜設計手法を適用することで効率的に潤滑膜を設計できることになる。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第15738号"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"6089","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"タニ, 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