{"created":"2021-03-01T06:18:43.284904+00:00","id":2121,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"028abb74-5e9e-4003-9f03-ba6746ee5d90"},"_deposit":{"id":"2121","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2121"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00002121","sets":["27:297:298","9:233:280"]},"item_7_alternative_title_1":{"attribute_name":"その他のタイトル","attribute_value_mlt":[{"subitem_alternative_title":"鳥類松果体のメラトニン概日リズムに関する研究"}]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2004-01-13","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2004-01-13"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo 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(cAMP)によって促進されることが報告されていたことから、時計のリズムもcAMPを介している可能性を推測した。そこで、恒常暗下で培養されたヒヨコ松果体細胞のメラトニンリズムの上昇期にcAMP依存性プロテインキナーゼAの阻害薬を培養液に添加したところ、メラトニンの上昇は阻止された。さらに、細胞内外カルシウムのキレート剤を添加したところ、cAMPの合成とメラトニン合成が平行して抑制された。以上のことから、時計のリズムは細胞内カルシウムを動員し、これによってcAMPの上昇を起こし、これがさらにメラトニン上昇を起こしていると推察された。もし、この仮説が正しければ、ヒヨコ松果体には細胞内カルシウムで活性化されるアデニル酸シクラーゼが存在することになる。最近、この酵素をクローニングし、カルシウム-カルモジュリン感受性のアデニル酸シクラーゼタイプVIIIが存在することを確認している。//最近の研究では、ラット松果体のメラトニン合成がPituitary adenylate cyclase-activating polypeptide (PACAP)によって促進されることが報告されている。ヒヨコ松果体のメラトニン合成がVIPによって促進されることが知られていたが、PACAPとVIPは同族ホルモンで受容体には両者を認識するものもある。そこで、ヒヨコ松果体がラットと同様にPACAPに反応し、メラトニン合成を促進するか否かを検討した。その結果、PACAPの添加量に依存してメラトニン分泌量が促進された。VIPのアンタゴニストと同時にPACAPを添加すると、PACAPの効果は若干減衰したが、完全に阻止することはできなかった。このことからヒヨコ松果体にはPACAPに特異的な受容体(VIPに感受性の無い)が存在する可能性が推察された。そこで、次に、RT-PCRで受容体のタイプを検討した結果、PACAP-r1と言うPACAP特異的受容体の存在が確認された。以上の結果から、ヒヨコ松果体細胞にはPACAP特異的受容体が存在し、メラトニンの合成系に作用することが示唆された。次に、このPACAPがメラトニン合成系のみならず、時計に対しても、あるいは時計を介して作用している可能性を検討するため、PACAPのパルス添加による位相変位の有無を調べた。しかし、PACAPパルスに対してリズムの位相には影響が認められなかった。このことからPACAPはメラトニン合成に直接作用していると推察された。//次に、光はどのようにして時計を同調(リセット)しているのか?と言う疑問を解く一助として、光受容器から時計へのシグナル伝達について検討した。光の同調作用は、光パルスが時刻依存性にリズムを前進させたり、後退させたりすることを基本としている。そこで、ヒヨコ松果体細胞に光パルスを与え、メラトニンリズムの位相が前進するときに、種々のシグナル伝達阻害剤を添加した。その結果、細胞内カルシウムの枯渇剤であるタプシガルジンやシクロピアゾン酸によって光による前進作用は阻止された。さらに、カルシウム貯蔵の小胞体のライアナジン受容体アンタゴニストであるダントロレンやルテニウムレッドによっても光による前進作用は阻止された。以上のことから、光による時計の同調、特にリズム前進作用は細胞内小胞体のカルシウムの一過的放出によるのではないかと推測された。一方、光による後退作用には先の薬物は無効であり、前進作用と後退作用の細胞内伝達機構は異なることが示唆された。ラットの場合、一酸化窒素が光による時計同調作用に関与していることが示唆されているが、ヒヨコ松果体では一酸化窒素合成阻害薬は効果が無かった。このことは鳥の松果体と哺乳類の視交叉上核の時計の光同調機構が異なることを示唆している。//鳥類の松果体の時計はどのようにして体の諸機能の日内リズムを調節しているのであろうか?形態学的に、鳥類松果体からの神経性出力は殆ど無いことから、時計のリズムは液性物質を使って調節していると考えられる。中でも松果体ホルモン、メラトニンが著名なリズムを有する事から、メラトニンリズムを通して直接作用している可能性が推測される。しかし、仮に松果体以外にも時計機構(例えば視交叉上核など)があり、メラトニンがこの時計を同調させて、全身のリズムを支配している可能性も否定できない。事実、鳩や文鳥では視交叉上核も時計として重要であることが示されている。そこで、スズメとウズラを使用し(ヒヨコは成長速度が速く、行動リズムを測定するのに適していないので)、メラトニンを毎日定刻に投与したとき、リズムを同調できるか否かを検討した。その結果、リズムの同調は起こさないが、行動を直接抑制する効果が観察された。このことからメラトニンが松果体以外の時計機構に作用している可能性は否定された。メラトニンによる行動抑制は投与量依存性であり、このとき体温の下降を伴った。体温下降はメラトニンを活動期に投与した方が休息期投与よりも顕著に現れた。以上の結果は、鳥類のメラトニンは直接、行動や体温を抑制することを示している。このことは鳥類では、松果体からメラトニンが夜間に多量に分泌されることにより、行動の抑制と、体温の下降が誘起され、いわゆる休息状態になると推察される。//もし、先の仮説が正しいのであれば、夜行性鳥類の場合、メラトニンが夜に分泌されるにも関わらず行動できるのはなぜか?という疑問が生じる。そこで、夜行性のフクロウにメラトニンを投与したところ、体温は減少させたが行動の抑制は認められなかった。すでにフクロウの松果体は退化しており、メラトニンによる行動抑制も進化上、消失したのかも知れない。//このメラトニン末梢投与による行動抑制や体温下降はメラトニンがどの部位に作用して誘起されたものであろうか?また、行動の抑制は体温下降によって起こされたものなのであろうか?あるいは逆に、行動抑制によって体温下降が起こったのであろうか?と言う疑問が生じる。そこで、ウズラにおいて脳の種々の場所に慢性的カニューレを装着し、メラトニンの微量投与を行い、行動と体温を測定した。その結果、メラトニン投与によって行動のみ抑制される部位、体温のみ抑制される部位、両者ともに抑制される部位および両者ともに影響されない部位に分かれることが判明した。このことからメラトニンは脳内のそれぞれの部位において作用し、行動や体温を調節していると推察された。//以上のことから、鳥類松果体のメラトニンリズムの入力系、出力系をまとめると、ヒヨコ松果体1個1個に光受容器、時計機構およびメラトニン合成機構が備わっており、明暗条件下では光は受容器で感知されると細胞内小胞体中のカルシウムを一過的に放出させ、時計のリセットを行う。光シグナルのない恒常暗条件下では時計からのシグナルはカルシウムを動員し(あるいは細胞外カルシウムの取り込みを起こし)、カルシウムーカルモジュリンによりアデニル酸シクラーゼタイプVIIIを活性化する。 その結果、cAMPの上昇が起こり、これによってメラトニン上昇を誘導する。またメラトニン合成系にはPACAP依存系も存在する。松果体から分泌されたメラトニンは中枢へ作用し、行動抑制と体温抑制を起こす。すなわち、鳥類の松果体は外界の光条件に同調し、夜間に分泌が亢進し、行動や体温抑制を行う主時計(マスタークロック)としての機能を果たしていると考えられる。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第15851号"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"6145","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"中原, 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