{"created":"2021-03-01T06:19:24.876711+00:00","id":2798,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"21e0570e-746b-4e3c-82b7-65a80e648e03"},"_deposit":{"id":"2798","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2798"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00002798","sets":["125:293:294","9:233:280"]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2005-06-22","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2005-06-22"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo 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o-5-methyl-arauracil(D-FMAU)と比較検討した。//DHBV持続感染アヒルを、孵化2日後のアヒルにDHBV陽性血清を静脈内接種し作製した。この感染によりアヒルは肝炎を発症せず無症候性キャリアとなる。感染後、8週齢以上経過したアヒルをDHBV持続感染モデルとして実験に供した。9羽のDHBV感染アヒルに、m-dsRNAを5mg/kg、静脈内に単回投与し、経日的に採取した血液中のDHBVDNA量を対照群の感染アヒル(10羽)と比較した。図1に示すように、m-dsRNAを投与したアヒルでは投与後3日間は有意な血液中のDHBVDNA量の減少が認められた。しかし、投与4日後以降は、対照群のアヒルと同じ水準までウイルスDNA量は上昇した。また、m-dsRNA投与前と投与2日後の肝組織を採取し、DHBVの複製過程に対する作用を検討したところ、DHBVDNA複製中間体の全てを一様に抑制していることが認められた。以上の結果より、DHBV持続感染アヒルにおいてm-dsRNA単回投与は、一過性ではあるが抗DHBV作用を示すことが明らかとなった。//次に、DHBV持続感染アヒルでm-dsRNAがIFN誘導体として作用するのか否かを調べるために、m-dsRNA投与後経時的に採取した血液中のIFN活性と2'-5'オリゴアデニレート合成酵素(2'-5'AS)活性を測定した。図2に示すように、血液中のIFNはm-dsRNA投与3時間後に極値に達したのち急速に減少し、投与24時間後には投与前の活性値に復した。一方、2'-5'AS活性はIFN活性が極値に達した投与3時間後より徐々に上昇し、投与48時間後においても高い活性を維持していた。これらの結果から、m-dsRNAはDHBV感染アヒルにおいてIFN活性とそれに続く2'-5'AS活性を誘導することが明らかとなった。次に、m-dsRNAの連続投与による抑制作用を検討した。m-dsRNAを0.2mg/kgおよび1.0mg/kg、1日1回、7日間、静脈内投与により、血液中DHBVDNA量の有意な減少が認められ、その作用は投与中のみならず投与終了後、少なくとも2週間は持続する事が明らかとなった。また、その抑制作用には0.2mg/kgおよび1.0mg/kgの投与用量による差異は認められなかった。このようなm-dsRNA投与中止後の持続的なDHBV抑制作用は、他に多く報告されている抗へパドナウイルス活性を有する核酸類似化合物には認められていない。我々は、m-dsRNA投与中止後の持続的な抑制作用の機序を明らかにする目的で、DHBV感染アヒル初代肝細胞培養系を確立し、in vivoでの薬効の再現性の確認とその詳細を検討した。//DHBV感染アヒル初代肝細胞培養系として、孵化2日後のアヒルにDHBV陽性血清を静脈内接種し、感染2週間後にコラゲナーゼ門脈注入法により分離採取した肝細胞を用いた。また、比較対照として、核酸類似体の中でも強い抗HBV活性を示すことで知られているD-FMAUを用いた。各化合物でDHBV感染アヒル初代培養肝細胞を16日間処理し、化合物処理最終日の細胞中のDHBVDNA量を調べた。m-dsRNAとD-FMAUのDHBVDNA合成に対する50%抑制濃度(ED50)はそれぞれ、0.34±0.06μg/ml、0.007±0.001μg/mlであり、D-FMAUはm-dsRNAの約48倍高いDHBVDNA合成の抑制作用を示した。//次に、m-dsRNAの持続的抑制作用を検討する目的で、16日間の処理後、培養液中からm-dsRNAを取り除き、さらに7日間培養した後の抗DHBV作用を比較検討した。図3に示すように、m-dsRNA投与中止7日後、ED50はわずかに増量し、0.5±0.07μg/ml投与で、中止前のED50:0.34±0.06μg/mlとほぼ同じ抑制が得られた。この結果は、DHBV感染アヒルの動物実験モデルで得た結果と類似しており、in vivoにおける化合物の抑制作用がDHBV感染アヒル初代肝細胞培養系においても再現できる事を示している。一方、D-FMAUは化合物除去実験では、ED50が0.007±0.001μg/mlから0.12±0.09μg/mlとなり、約17倍の活性低下をきたし、m-dsRNAで認められた持続的作用は得られなかった。//この両化合物の作用機序の相違を検討するために、DHBVRNA転写に対する影響を調べた。m-dsRNA(1μg/ml)およびD-FMAU(0.1μg/ml)をDHBV感染アヒル初代培養肝細胞に16日間処理し、細胞から抽出したRNAをノーザンプロット法にて解析した。m-dsRNAを処理した肝細胞では無処理肝細胞に比べ著しいDHBVRNA量の減少が認められた。D-FMAU処理肝細胞においてもDHBVRNA量の減少が認められたが、その抑制作用はm-dsRNAに比べて弱かった。m-dsRNAは主としてDHBVのRNA転写を抑制し、一方、D-FMAUはDHBVのDNA複製を強く抑制することが明らかとなった。これらの結果は、DHBVのRNA転写を抑制することにより持続的なウイルス抑制効果が期待できることを示している。すなわち、ウイルス複製過程におけるウイルスRNAへの転写過程の抑制が、抗HBV剤の重要な標的と成り得ることが示唆された。//以上のことから、DHBV感染アヒルを用いたHBV実験感染動物モデルにおいて、m-dsRNAはin vivoおよびin 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