{"created":"2021-03-01T06:19:24.937628+00:00","id":2799,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"c3a949b9-214a-4e43-9530-b7b96e687176"},"_deposit":{"id":"2799","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2799"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00002799","sets":["27:297:298","9:233:280"]},"item_7_alternative_title_1":{"attribute_name":"その他のタイトル","attribute_value_mlt":[{"subitem_alternative_title":"ニジマス熱ショックタンパク質遺伝子の発現調節機構に関する研究"}]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2005-09-05","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2005-09-05"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo 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mykissを対象に,HSPの構造と遺伝子発現特性,並びに発現調節機構を明らかにすることを目的として行われたもので,結果の概要は以下の通りである.//1.Hsp70の構造とmRNA発現特性の解析//Hsp70は脊椎動物における主要なストレス誘導性タンパク質で,そのアミノ酸配列は生物種間で非常に高く保存されている.一方,ニジマスは4倍体化した祖先種をもつと考えられており,重複したHsp70の存在が推定される.そこで,実際に重複遺伝子が存在するかどうかを明らかにするため,3ヶ月齢のニジマスを25℃,30分間の熱処理に付してHsp70の全長をコードするcDNAクローンを12個単離し,それらの塩基配列を決定した.その結果,2つのHsp70,すなわちHsp70aとHsp70bが同定された.これらHsp70の推定アミノ酸配列は互いに98.1%の同一率を示した.サザンブロット解析の結果,Hsp70aとHsp70bはニジマスゲノム上で異なる遺伝子として存在していることが示された.//次にHsp70aとHsp70bのmRNA発現特性をニジマスRTG-2細胞を用いて解析した.2つの遺伝子を区別して検出したノーザンブロット解析の結果,熱ストレスを与えた細胞において,長さの異なる2種類のmRNAの蓄積がいずれのHsp70にも観察された.各2種類のmRNA蓄積量をHsp70aとHsp70bで比較したところ,長短mRNAのいずれも熱ストレス下では常にHsp70bの方がHsp70aより蓄積量は高かった.一方,温度や時間を変化させたときに観察された発現動態は両遺伝子で類似していた.興味深いことに,Hsp70aとHsp70bの双方で検出された長短2種類のmRNAのうち,長い方のmRNAはいずれも28℃以上の強い熱ストレス下でのみ検出された.//これらの結果から,ニジマスにおいては予想通り重複したHsp70が存在し,熱ストレスの強さにより各mRNAの発現パターンが変化することが明らかとなった.また,ニジマスを対象に遺伝子の発現特性を正確に調べるためには,まず重複遺伝子の包括的な同定が必要であることが示唆された.//2.HSPファミリーのmRNA発現特性の解析//Hsp70以外のHSPファミリー遺伝子について熱ストレスによる発現特性を正確に解析することを目的とし,重複遺伝子を含めた包括的な探索を試みた.その際,一度に出来るだけ多数のHSPファミリー遺伝子が単離できるように方法を工夫した.具体的には25℃,24時間の熱ストレス処理したRTG-2細胞からcDNAライブラリーを作製し,任意に200クローンを単離してそれらの塩基配列を決定した.その結果,HSPをコードする9種類のcDNAが同定された.単離された遺伝子はHsp90 a,Hsp90 b,Grp78,Hsp70a,Hsc70a,Hsc70b,Cct8,Hsp47,DnaJのホモログであった.これら遺伝子はRTG-2細胞のノーザンブロット解析により,熱ストレスの有無にかかわらず単一バンドとして検出された.ただしHsp70aは上述同様,強い熱ストレス下でmRNAのバンドが2本検出された.//上述したHsp70も含めて各HSPファミリー遺伝子のmRNA蓄積量の熱ストレスによる変化をさらに詳細に調べるため,定量的RT-PCR解析を行った.その結果,Hsp70a,Hsp70b,Hsc70a,Hsc70b,Hsp47の5遺伝子において,熱ショックによりmRNA蓄積量が有意に増加した.とくにHsp70aとHsp70bのmRNA蓄積量の変化は顕著で,28℃,3時間の熱ショック後,それぞれ定常状態の480倍および510倍に増加した.他方, Hsc70a,Hsc70b,Hsp47のmRNA蓄積量は,同じ熱ショック条件下でそれぞれ定常状態の1.3倍,2.8倍,1.6倍に増加した.//以上のようにHSPファミリー遺伝子の熱ストレスによるmRNAの蓄積量変化を包括的に解析することにより,重複遺伝子間やHSPファミリー間でのmRNA発現特性の差異が明らかとなった.またニジマスHSPファミリー遺伝子も他生物種同様に転写レベルで制御されていることが示され,特異的転写因子の存在が示唆された.//3.HSF1のクローン化とタンパク質レベルでの性状解析//ニジマスにおけるHSPファミリー遺伝子の転写調節機構を明らかにするため,RTG-2細胞から熱ショック転写因子HSFをコードするcDNAのクローン化を試みた.その結果,上記HSPファミリー遺伝子と同様に重複遺伝子と考えられる2つのHSF1が同定されたので,それらをHSF1aおよびHSF1bと名付けた.両タンパク質の推定アミノ酸配列は互いに86.4%の同一率を示した.2つのニジマスHSF1はいずれも他生物種HSF1に共通のモチーフ構造,すなわちDNA結合ドメイン,ロイシンジッパー様構造,核移行シグナルを有していた.サザンブロット解析の結果,HSF1aおよびHSF1bはニジマスゲノム上でそれぞれ異なる遺伝子として存在していることが示された.//クローン化した遺伝子がRTG-2細胞のほか,実際にニジマス生体中で転写されていることを確認するため,RT-PCR解析を行った.その結果,HSF1aとHSF1bのmRNAは非ストレス下の諸組織において共発現していることが明らかとなった.//2つのHSF1アイソフォームの性状を生化学的に調べるため,HSF1aにはヘマグルチニンタグ,HSF1bにはプロテインCタグを融合させる発現ベクターを構築し,in vitro転写・翻訳を行った.ウェスタンブロット解析の結果,HSF1aおよびHSF1bの各融合タンパク質の単一バンドがそれぞれのエピトープタグに特異的な抗体により検出され,各融合タンパク質の合成が確認された.//次にin vitro翻訳産物を用いてニジマスHSF1のDNA結合能を調べた.HSEコンセンサス配列の合成オリゴヌクレオチドを用いてゲルシフトアッセイを行った結果,2つのHSF1はいずれも本HSEに結合することが示された.また熱ショック前後のRTG-2細胞抽出液を用いてゲルシフトアッセイを行ったところ,熱ショック後の細胞抽出液においてのみ内在性HSF1と合成HSEとの結合が認められた.このことからニジマスHSF1は既報の他生物種HSF1と同様に,熱ショックによる3量体形成を介したDNA結合活性化機構をもつことが推定された.//そこでさらにニジマスHSF1の多量体形成能について調べた.上記の翻訳産物を化学的に架橋し,各エピトープタグに特異的な抗体を用いて免疫沈降を行った.その結果, 各HSF1のホモ3量体形成が確認されただけでなく,HSF1aとHSF1bのヘテロ3量体が形成されることも示された.//これらの結果から,ニジマスにはHSF1アイソフォームが2種類存在することが明らかとなり,その両方がHSPファミリー遺伝子の熱ストレス誘導性転写調節に関与していることが示唆された.//以上,本研究により,冷水性魚類のニジマスを対象としたHSPファミリー遺伝子の包括的かつ定量的なmRNA発現特性の解析で,本魚種には重複遺伝子を介する独特な熱ストレス応答の分子機構が存在することが明らかとなった.従来からニジマスにおいてはその4倍体性から重複遺伝子の存在が予想されていたが,本研究により初めて重複したHSPファミリー遺伝子やHSFの存在が明らかとなり,それらを区別して検出することが可能となった.本研究は魚類の増養殖に基礎的知見を与えるのみならず,今後さらに重複遺伝子の存在意義や種々のストレス因子の解明へと発展することが期待されることから,応用上および比較分子・細胞生物学上に資するところが大きいと考えられる.","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第16315号"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"7370","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"尾島, 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