{"created":"2021-03-01T06:19:24.999227+00:00","id":2800,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"cea908ff-8e69-4e02-9dd0-1512344547a1"},"_deposit":{"id":"2800","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2800"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00002800","sets":["20:305:306","9:233:280"]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2006-06-14","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2006-06-14"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo 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メシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に代表される耐性菌が出現し、それらによって引き起こされる院内感染は社会問題となっている。さらに、近年、毒性の高い市中感染型MRSAの存在が明らかとなり、脅威となっている。そのMRSAに対する抗生物質の切り札として、バンコマイシンが用いられているが、最近バンコマイシンに対し高度耐性を示す黄色ブドウ球菌の出現が報告された。従って、新規抗生物質の開発は、非常に重要かつ喫緊の課題となっている。一般に抗生物質の開発に当たっては、まず試験管内における抗菌活性を指標としたスクリーニングが行われる。そこで見出された抗菌物質で有望な物は、マウス等の哺乳動物を用いた感染症モデルで治療効果があるか否か検討される。試験管内での試験で抗菌活性を示す検体数は膨大となるため、哺乳動物を用いた感染実験はコストがかかる。さらに、近年ヨーロッパを中心として、倫理的な観点から哺乳類を用いた動物実験に対して法律による規制が行われており、世界的な流れとなり始めている。これらの問題を解決するために、哺乳類以外で、飼育コストが低く、簡便に治療効果を検討できる系の確立は有用であると考えられる。私は、哺乳類以外の感染実験が可能な動物として、カイコ幼虫に着目した。昆虫には哺乳類の薬物代謝、薬物動態に関わる臓器である肝臓・腎臓・腸に相当する器官として、脂肪体・マルピーギ管・中腸が存在する。さらに昆虫には哺乳動物と同様にCYP450や、抱合酵素などの薬物代謝酵素が存在することが知られている。しかも、カイコ幼虫は実験者に対して攻撃性を示すことがなく、また飼育容器から逃走することはない。また、カイコ幼虫の一個体あたりの飼育に要する単価はマウスに比べ低く、体重がマウスの10分の1と小さいため、アッセイに必要な薬剤量も少なくてすむ。従って、カイコ幼虫は飼育コストが非常に安く、大量の候補化合物の治療効果のアッセイを行う実験動物として非常に有用であると考えられる。そこで、私はこのカイコ幼虫を用いた抗生物質の定量的な評価が可能ではないかと考え研究に着手した。//病原性細菌に感染したカイコ幼虫における抗生物質の治療効果の評価// 黄色ブドウ球菌あるいはS.maltophiliaによるカイコ幼虫の感染死に対する、ヒト臨床で有効とされている抗生物質の治療効果の有無を検討した。それぞれの抗生物質を、各細菌に感染させたカイコ幼虫に、種々の用量の薬剤を投与し、2日後のカイコ幼虫の生存率を求めたところ、すべての薬剤について、用量の増加に伴った生存率の上昇が見られ、その生存曲線からED(50)値を定量的に求めることができた(Fig.1)。その結果、カイコ幼虫における抗生物質のED(50)値は、マウスで報告されている値とおよその一致を示した(TABLE 1)。また、ヒトの臨床にける日和見感染症の原因菌であるカンジダなどの真菌に対しても、カイコ幼虫は感受性を示し、さらに抗真菌剤によって治療効果された。そのED(50)/MIC比はマウスで報告された値とおよその一致を示した。これらの結果から、カイコ幼虫を用いて抗生物質、及び抗真菌剤の治療効果を評価できることがわかった。//カイコ幼虫の感染モデル系における抗生物質の経口投与による治療効果の有無// ヒト臨床においてカナマイシン(KM)やバンコマイシン(VM)は、敗血症の治療に対して経口投与では無効である。次に、カイコ幼虫での黄色ブドウ球菌感染モデル系におけるこれらの抗生物質の経口投与による治療効果について、ヒト臨床との対応の有無を検討した。黄色ブドウ球菌に感染させたカイコ幼虫の腸管内に抗生物質を投与し2日後のカイコ幼虫の生存率を求めた(TABLE 2)。クロラムフェニコール(CP)及びテトラサイクリン(TC)では腸管投与(i.m.)においては治療効果が見いだされたが、KM及びVMでは腸管内注射でも、餌に混ぜて経口投与(p.o.)した場合でも700μg以上で治療効果が見られなかった。また、生きたカイコ幼虫の腸管内に投与後、血中濃度上昇の有無を検討したところ、CPは投与後速やかに血中濃度が上昇後、薬物濃度が維持されたのに対し、VMの場合は血中濃度の上昇は起こらなかった。さらに、CP及びTCは試験管内の摘出腸管において高い透過性を示したが、VM及びKMはほとんど透過性を示さなかった。以上の結果は、カイコ幼虫の感染モデル系においてVM及びKMが経口投与で治療無効であるのは、腸管吸収性が低いためであることを示しており、哺乳動物の結果と一致する。//カイコ幼虫腸管における抗生物質の透過速度に与える油水分配係数の影響// VMやKMがカイコ幼虫の腸管を透過しないのは、それらの抗生物質の親水性が高く、分子量が大きいからであると考えられる。このことを検証するため、特異的なトランスポーターを介さない非特異的経路を透過していると考えられる親水性化合物を用いて、カイコ幼虫の摘出腸管における物質の透過速度に対する分子量の影響を検討した。その結果、分子量400を超える化合物は例外なくカイコ幼虫の腸管の内側から外側へ透過しないことが分かった(Fig.2A)。以上の結果は、カイコ幼虫腸管には高分子量の親水性物質に対する透過障壁が存在することを示している。// 腸管からの物質の透過性には、分子量のほかに油水分配係数が影響することが知られている。そこで次に、カイコ幼虫の腸管透過速度に与える物質の疎水性の影響を検討した。様々な油水分配係数を示す、分子量が300〜700の非特異的経路を透過すると考えられる色素及び抗生物質について、摘出腸管における透過速度を検討した。その結果、油水分配係数と腸管透過速度の間には正の相関性が見られることが分かった(Fig.2B)。この結果は、物質のカイコ幼虫の腸管の透過性には哺乳動物における場合と同様に、透過する化合物の分子量と油水分配係数が影響することを示している。// 次に、抗生物質の腸管透過性と治療効果に対する、化合物の疎水性の影響について検討した。セフカペンナトリウム(CFPN-Na)は、ヒト臨床において、腸管吸収性が低く経口投与では治療効果が得られないことが知られている。セフカペンピボキシル(CFPN-PI)は、経口での治療効果を持たせるために開発されたCFPN-Naのプロドラックである。CFPN-Naのカルボキシル基に疎水性基がエステル結合することにより油水分配係数が上昇し、腸管からの吸収性が上昇すると考えられている。そこで、カイコ幼虫の腸管におけるCFPN-PIとCFPN-Naの透過性をin vitroおよびin vivoで比較した。その結果、カイコ幼虫の摘出腸管では、CFPN-PIはCFPN-Naに比べ3倍速く透過した。さらに、CFPN-Na及びCFPN-PIの生きたカイコ幼虫における腸管吸収性を比較した結果、CFPN-PIは投与後すみやかに腸管から吸収され、CFPN-Naとして血中に存在しており、3時間以降においても血中濃度は保たれていた。一方、CFPN-Naは、腸管内投与後の血中濃度はCFPN-PIを投与した場合に比べ低い値を示した。さらに、カイコ幼虫における黄色ブドウ球菌感染モデルおけるCFPN-NaとCFPN-PIの治療効果の差異を検討した。血管内投与の場合には、両薬剤のED(50)値はほぼ同じ値であった(TABLE 3)。一方、腸管内投与においては、CFPN-PIのED(50)値は、CFPN-Naに比べ6分の1の値を示した(TABLE 3)。従って、カイコ幼虫感染モデルにおいても、哺乳動物の場合と同様にCFPN-PIはCFPN-Naに比べ腸管吸収性が高く、その結果として治療効果が高まっていると考えられる。//結論// カイコ幼虫は、取り扱いが容易で、飼育コストが安く、一度に多数の個体を扱うことが可能であるなど、哺乳動物に比べ優れた利点を有している。また、カイコ幼虫はマウスなどに比べ倫理的な問題が少ない。臨床で用いられている抗生物質は、カイコ幼虫でも黄色ブドウ球菌やカンジダなどの病原性細菌に対し治療効果を示し、ED(50)値による定量的な評価が可能であった。その上、カイコ幼虫の系でのED(50)値はマウスを用いたときの値とおおよそ一致していた。また、本研究から抗生物質のカイコ幼虫の腸管透過性は、哺乳動物と同様に、分子量及び油水分配係数が影響することが分かった。さらにカイコ幼虫における抗生物質の経口投与での治療効果及び腸管透過性の有無は、哺乳動物の結果と一致していた。従って、カイコ幼虫は血液内投与及び経口投与での、治療効果を指標とした抗生物質のスクリーニング系として有用であると考えられる。この系は、新規の抗生物質の探索・開発に応用できると期待される。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第16551号"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"7372","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"ハマモト, 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