{"created":"2021-03-01T06:19:26.925685+00:00","id":2831,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"5c8af5ab-916c-4b51-88de-7f12e5cc1a9d"},"_deposit":{"id":"2831","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2831"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00002831","sets":["6:291:292","9:233:280"]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2004-09-15","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2004-09-15"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo 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第3章では、山形県肘折のNEDO HDR実験場において使用する新たなトレーサとして、タングステン酸ナトリウムとモリブデン酸アンモニウムを選定した経緯を述べた。新たなトレーサの選定は、マルチトレーサ試験の実施や、繰り返し試験時のバックグラウンド濃度増加防止を目的に行ったもので、室内加熱試験と現場実験の両方を行うことにより、新しい無機トレーサと蛍光染料トレーサの選択を行った。// 室内試験により有望と考えられたタングステン酸ナトリウムとモリブデン酸アンモニウムを、肘折での循環試験中に使用・評価し、定性的な評価を行う上では十分なことを確認した。更に、検出感度や費用の点で期待される蛍光染料として、フルオレセイン、アミノG酸、ローダミンBの3種類についての評価を行い、肘折で実施した坑井掘削時の試験と坑井内での長期放置試験の結果から、フルオレセインが十分に使用可能であると判断した。// 第4章では、注入井坑内におけるトレーサの移流分散の影響を評価するために、HDR-2井とHDR-3井の増掘中にトレーサ試験を行った結果を述べた。坑井内での一次元流れによる分散を仮定して、試験結果に最もフィットする縦分散率αLを求めたところ、0.1〜0.2mとなった。この値を用いて下部貯留層を対象としたトレーサ試験の予測を行った結果、フラクチャへ流入するトレーサの濃度は移流分散の影響によって坑口濃度の半分程度に低下することが分かった。この結果をもとに長期循環試験時のトレーサ投入時間をほぼ10分間に設定した。// 第5章では、肘折HDR実験場の上部貯留層を対象に実施したトレーサ試験を、滞留時間分布(RTD)法によって評価した結果を述べた。まず、RTD法を用いたHDR貯留層の評価方法について説明を行い、次いで肘折での循環試験中に行ったトレーサ試験に適応した結果を述べた。対象としたのは上部貯留層における循環試験で、1988年夏に肘折で最初に行われた15日間の循環試験、1989年夏に実施した1ヶ月間の循環試験と、上部貯留層で行われた最後の循環試験である1991年の3ヶ月間循環試験中に行ったトレーサ試験の評価を行った。// 3ヶ月間の循環試験では、循環の時間経過やそれぞれの生産井との間の流動状況が生産井ごとに異なることをトレーサ試験によって明らかにした。このような違いを生み出す原因として、東西に延びる主フラクチャと各坑井との導通状況の違いが考えられた。単独坑井試験時のシャットインによる影響は坑井ごとに異なり、SKG-2井との導通が直接的なHDR-2井やHDR-3井では、単独坑井試験時の注入圧力の上昇によってフラクチャの開口が発生したものと推定した。単独坑井生産時の影響が少なかったHDR-1井に関しても、一連の単独坑井生産後には流動状況の改善が認められ、これら作業によるフラクチャ内流動状況の改善効果を定性的に評価することができた。// 第6章では、熱・物質移動有限要素法シミュレーションコードを用いて、3ヶ月間の循環試験によって得られた実測値と数値シミュレーションとのマッチングを行い、貯留層の規模及び循環時間の経過に伴う変化を評価した。まず、循環試験中の圧力-温度-流量(PTS)検層から求めたフラクチャごとの生産流体温度の経時変化とシミュレーションとのマッチングにより、それぞれの流路ごとの熱交換面積だけでなく、循環時間の経過による熱交換面積の変化も把握可能なことを明らかにした。更に、肘折上部貯留層の場合、注入箇所から生産井までの導通距離の近いフラクチャほど縦横比が小さく、しかも生産井から注入した流体は注入深度よりも上方へ流動しやすいことを明らかにした。つぎに、生産流体温度の経時変化とのマッチングによって求めた熱交換面積を基に、更にトレーサ試験により得られる応答曲線とのマッチングを加味することで、フラクチャ幅を推定した。今回得られたフラクチャ幅は2〜14mmの範囲にあり、坑井試験から推定された値に比べて1桁大きな結果となったが、生産井掘削の際して得た定方位コアに認められる数mmのき裂開口幅とほぼ一致した。// 実際のHDR貯留層の評価を行う場合には、温度の変化が起こる前に貯留層の評価を行う必要がある。このため、前もって現場の状況を想定した貯留層モデルを設定し流量ごとのタイプカーブを作成することにより、トレーサ試験によって得られるデータから簡便に貯留層容積を推定する方法を提案した。更に、トレーサピーク濃度到達時間と坑井間隔を基にしておおよそのフラクチャ幅の値を求めることで、熱交換面積を推定することが可能なことを明らかにした。// 第7章では、上部・下部2層の貯留層を対象に実施された長期循環試験(LTCT)中のトレーサ試験について述べ、得られたトレーサ応答曲線を基に、多坑井マルチフラクチャからなる貯留層内の流動を評価した結果を述べた。LTCTでは、循環形態に合わせて効率的にトレーサ試験を行うため、新たに流体自動採取装置と光ファイバー蛍光光度連続測定システムを作成し、これら装置を用いて、下部貯留層注入による循環時6回、上下両貯留層への注入、いわゆるデュアル循環試験中に6回、合計12回のトレーサ試験を実施した。貯留層内の流動状況の変化をトレーサ試験の結果から把握する場合、デュアル循環時の貯留層からの流出状況を正確に把握することが必要で、そのためには生産井坑口で得られるトレーサのRTD曲線に上下貯留層の生産寄与率を考慮した補正を加える必要があることを明らかにした。このような評価を行った結果、トレーサ試験によって得られる応答曲線は、注入流量の変化や循環の停止などにより大きく変動することを明らかにした。また、応答曲線の変動は、PTS検層によって求めることができる坑井近傍の流動抵抗だけでなく、注入井と生産井間の広範な領域の流動状況を反映することを明らかにした。// 第8章は結論であり、本研究の成果をまとめ、今後の技術的課題と展望を示した。// トレーサ試験は流体の循環状況を把握するために最も有力な手段の一つで、これまでにも多くの知見が蓄積されてきた。しかし、HDR貯留層の評価に不可欠な複数のフラクチャを対象とした研究については満足に行われていなかった。本研究では、肘折で実施された循環試験の機会ごとに順次改良を加えながら、新規トレーサの選択、適正なトレーサ注入方法、蛍光トレーサの原位置連続測定法の開発を進め、これまでに比べて簡便にしかも高精度でトレーサ試験を行える効率的なシステムを完成した。更に、このトレーサ試験による評価結果を逐次用いれば、地熱貯留層を能動的に制御できる可能性を指摘した。本研究の成果は適用できる対象は極めて広く、複雑なき裂内の流動が問題となるあらゆる場合に有効であり、今世紀の重要な課題である放射性廃棄物処分場にも適用できる。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第16084号"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"7434","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"マツナガ, 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