{"created":"2021-03-01T06:19:27.109763+00:00","id":2834,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"3f6d1843-3228-448e-97a8-e6b377c41285"},"_deposit":{"id":"2834","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2834"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00002834","sets":["27:297:298","9:233:280"]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2004-11-08","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2004-11-08"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo 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I処理で遊離する100-kDaのタンパク質を精製した。このタンパク質は、振盪培養した酵母からは見いだされなかった。このタンパク質のアミノ酸配列を決定したところ、TIR1/SRP1遺伝子がコードするタンパク質であった。TIR1/SRP1はこれまでにグルコース、低温ショックあるいは嫌気培養で誘導される遺伝子として見つかっており、その産物は細胞壁タンパク質ではなく細胞膜タンパク質であると考えられてきた。しかしながら、Tir1p/Srp1pはβ-1,3-グルカナーゼ処理によって細胞壁から溶出され、精製したTir1p/Srp1pはβ-1,6-グルカンに対する抗体と反応し、グルコースを含んでいた。これらのことから、Tir1p/Srp1pは静置培養された酵母における主要な細胞壁タンパク質のひとつであり、細胞壁にβ-1,6-グルカンを通じて結合していることが示唆された。TIR1/SRP1 mRNAは静置培養でのみ転写され、その転写はROX1 repressorにより制御されていた。以上のことから、Tir1p/Srp1pは静置培養特異的細胞壁タンパク質であることが示された。//2 定常培養期の主要細胞壁タンパク質Sed1pの同定と解析// 上記と同様の方法により、振盪培養した酵母の細胞壁から260-kDaの構造細胞壁タンパク質を精製した。アミノ酸配列の解析から、このタンパク質はSED1遺伝子の産物であることが明らかとなった。SED1はこれまでに、分泌経路からの小胞体内膣のタンパク質の回収に欠陥を持つerd2変異のマルチコピーサプレッサーとして見出されている。Sed1pはセリンとスレオニンに富み、他の細胞壁タンパク質と同じようにグリコシルホスファチヂルイノシトール(GPI)アンカーを付加するための想定上のシグナル配列を含んでいる。しかしながら、他の細胞壁タンパク質とは異なり、Sed1pは6個のシステインと7個の想定上のN糖鎖結合部位を含むことから、細胞壁タンパク質の新しいファミリーに属することが示唆された。エピトープタグを付加したSed1pはイムノブロット解析で細胞壁のβ-1,3-グルカナーゼ抽出画分に見出されたことから、Sed1pはグルカナーゼで抽出可能な細胞壁タンパク質であると考えられた。SED1 mRNAの発現は定常培養期で増加し、それに付随して細胞壁のSed1p含量も増加していた。SED1を破壊しても、対数増殖期の細胞には効果がなかったが、定常培養期の細胞は溶解酵素感受性になった。これらの結果は、Sed1pが定常培養期における主要な構造細胞壁タンパク質のひとつであり、定常培養期における溶解酵素に対する耐性に必要であることを示している。//3 細胞壁生合成に関与するDCW1 (YKL046c)とDFG5の同定と解析// 主要な酵母細胞壁タンパク質はGPIアンカータンパク質として合成され、細胞壁のβ-1,6-グルカンに転移することが知られている。この転移を糖転移反応であると仮定し、Bacillus circulansのα-1,6-mannanaseをコードする遺伝子とホモロジ−のある酵母の遺伝子をゲノムデータベースから検索したところ、DFG5とYKL046cが見出された。これらの遺伝子は互いに相同であり、GPIアンカータンパク質に特徴的な構造を持っていた。DFG5とYKL046cの単独破壊株は生育可能であったが、Δykl046cは細胞壁溶解酵素に感受性を示し、細胞壁が弱くなっていたことから、この遺伝子が細胞壁の生合成に関与していることが示唆された。従って、YKL046cをDCW1 (Defective Cell Wall)と命名した。Δdcw1 Δdfg5は致死であったことから、両遺伝子産物の機能は重複しており、細胞の増殖のためには少なくともひとつは必要であると考えられた。両方の遺伝子産物が欠損した細胞では、細胞は大きく丸くなり、細胞壁のキチン含量が多くなり、主要な細胞壁タンパク質であるCwp1pを培地に分泌した。Dcw1pにエピトープタグを付加して解析したところ、Dcw1pはN糖鎖を持ったGPIアンカー型膜タンパク質であり、細胞表層を含む膜画分に局在していた。これらの結果から、Dcw1pとDfg5pはGPIアンカー型膜タンパク質であり、細胞壁の通常の生合成に必要であることが示唆された。//4 温度感受性dcw1変異株の取得と解析// Dcw1p及びDfg5pの細胞壁生合成に関する機能をより詳細に解析するため、PCRでランダムにDCW1に変異を導入し、プラスミドに組み込んだ後、Δdcw1 Δdfg5に形質転換して温度感受性変異株DC61を単離した。DC61を37℃で培養すると、ほとんどの細胞は母細胞の20%以下の断面積しか持たない小さな芽の状態で増殖を止めていた。この結果は、37℃で培養したDC61は細胞周期のアレストを起こしていることを示唆していたため、DNA含量を調べたところ、37℃で培養したDC61では、1n DNAを持った細胞の割合が減少していたが、Spindle pole body (SPB)は分離していなかった。また、細胞をDAPI染色したところ、単核であった。このことから、37℃で培養したDC61はDNA合成の後、SPB分離の前で細胞周期を停止していると考えられた。これらの小さな芽の表層にはキチンが集積し、芽は溶解を示したことから、芽の細胞壁が異常になっていると考えられた。また、DCW1 mRNAはG1期に、DFG5 mRNAはS期に、また両者とも対数増殖期に多く蓄積しており、芽の形成に重要な時期に発現すると考えられた。これらの結果から、Dcw1pとDfg5pは、芽の細胞壁の生合成に重要な役割を持つことが示された。//5 結論// 酵母溶解酵素であるRarobacter faecitabidus protease I処理で細胞壁グルカンから遊離する260-kDaと100-kDaのタンパク質を精製した。アミノ酸配列を解析した結果、260-kDaのタンパク質の配列はSed1pの配列と一致し、100-kDaのタンパク質の配列はTir1p/Srp1pの配列と一致した。TIR1/SRP1遺伝子は静置培養特異的に発現し、Tir1p/Srp1pはβ-1,6-グルカンに結合していると考えられたことから、Tir1p/Srp1pは静置培養特異的な細胞壁タンパク質であると考えられた。一方、SED1遺伝子は定常培養期に多く発現し、Sed1pは細胞壁からβ-1,3-グルカナーゼにより抽出できたことから、Sed1pは定常培養期の主要な細胞壁タンパク質であると考えられた。また、Sed1pは溶解酵素に対する耐性に関与していた。// Bacillus circulansのα-1,6-mannanaseをコードする遺伝子とホモロジ−を持つ遺伝子として酵母ゲノムデータベースから見出したDCW1とDFG5について詳しく調べた。その結果、これらの遺伝子は互いに相同であり、両方破壊すると致死であった。Δdcw1は溶解酵素に対して感受性であり、Δdcw1 Δdfg5も細胞壁が弱くなった表現型を示したことから、これらの遺伝子は細胞壁の生合成に関与していると考えられた。DCW1にエピトープタグを付加して解析したところ、Dcw1pはN糖鎖を持ったGPIアンカー型膜タンパク質であり、膜を含む細胞表層に局在していた。Dcw1p及びDfg5pの細胞壁生合成における詳細な役割について解析するため、温度感受性のdcw1変異株を作成したところ、37℃で培養したdcw1ts株は異常な細胞壁を持った小さな芽の状態でDNA合成の後、SPB分離の前で細胞周期を停止しており、細胞壁チェックポイントにより細胞周期を停止したと考えられた。事実、DCW1 mRNAはG1期に、DFG5 mRNAはS期に、また両者とも対数増殖期に多く蓄積しており、芽の形成に重要な時期に発現していた。このことから、Dcw1p及びDfg5pは芽の細胞壁の生合成に重要な役割を持つことが明らかとなった。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第16120号"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"7440","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"キタガキ, 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