{"created":"2021-03-01T06:19:27.353861+00:00","id":2838,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"f8312042-6a98-4c64-a907-e80ed62d41ff"},"_deposit":{"id":"2838","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2838"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00002838","sets":["6:291:292","9:233:280"]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2005-02-17","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2005-02-17"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo 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二硫化モリブデン焼成被膜の持つこれらの欠点のうち,まず通常大気中における寿命低下を改善するため,乾燥空気中や真空中に比較して通常大気中で寿命が大きく低下するメカニズムを検討した.そのために二硫化モリブデン焼成被膜を潤滑剤としたすべり軸受試験およびピンオンディスク試験を大気中,真空中で行い,寿命モード等を調べた.実験の結果,被膜寿命は大気中では真空中の数十分の一となり,摩擦係数は大気中では真空中の数倍を示した.しかしながら,寿命モードは大気中,真空中ともに共通して被膜の下地からのはく離であることが明らかとなった.// 摩擦が繰返し加えられた後の被膜はく離であるので,はく離のメカニズムは疲労と考えるのが妥当であり,その場合,被膜寿命と被膜に発生する応力の間に一定の関係が見られるはずである.そこで,その関係を調べるため,各実験条件に対応する条件で被膜内応力の弾性解析を行い,被膜−下地界面に発生する応力の計算値と実験で得た被膜寿命の比較を行った.その結果,被膜−下地界面の面内せん断応力と被膜寿命の関係は,大気中,真空中の区別なくひとつの線上に載り,疲労現象一般に見られるS-N曲線と同様のものが得られることがわかった.したがって,被膜寿命は被膜−下地界面のせん断応力に支配されていると考えることができる.なお,これはすべり軸受試験,ピンオンディスク試験という,接触形態がかなり異なる条件でも共に成り立ったことから,二硫化モリブデン焼成被膜の寿命メカニズムとして,ある程度一般性を持つ結論であるといえる.// 応力解析によると,被膜−下地界面に発生するせん断応力は,摩擦による被膜表面のせん断応力がほぼそのままの大きさを保って被膜−下地界面に達したものである.したがって,被膜寿命は摩擦力に支配されているということができる.このことから,二硫化モリブデン焼成被膜の大気中寿命が真空中に比較して著しく低下するのは,大気中の摩擦係数が真空中に比べ数倍大きくなることに起因すると考えることができる.// 一方,高面圧を与えやすいピンオンディスク試験において,一定以上の荷重を与えた試験において被膜はく離ではない寿命モードが観察された.これは高面圧下で著しく寿命が低下する第二の欠点が現れたものであり,高面圧により被膜が表面あるいは内部から破壊して厚さを減じていく寿命モードを示した.// 以上のように,通常の面圧条件では二硫化モリブデン焼成被膜は下地からのはく離よって寿命となり,寿命の長さは摩擦係数に支配されること,高面圧下では被膜の破壊により早期に寿命になることが示された.これらの知見を基に,二硫化モリブデン焼成被膜の潤滑性能向上のための方策を検討した.// まず,大気中での寿命を向上させるための方策について述べる.大気中で寿命が低下するのは,大気中の摩擦係数が真空中に比較して大きいためであることから,大気中摩擦係数を低下させる何らかの方策を講じればよい.二硫化モリブデンが大気中で大きな摩擦係数を示すのは,大気中の水分が二硫化モリブデンに吸着するためであることがすでに明らかにされている.したがって,水分の吸着を阻害するような物質を二硫化モリブデンにあらかじめ吸着させることができれば,大気中での摩擦を低下させることができ,その結果大気中の寿命も向上するはずである.そこで,水分吸着阻害物質として陽イオン性界面活性剤を選定し,これを吸着させた二硫化モリブデンを用いて作製した焼成被膜について,ピンオンディスク試験を行って潤滑性能を評価した.// 実験の結果,界面活性剤を用いた被膜は,大気中において界面活性剤を用いない通常の被膜に比較して摩擦係数は20%程度小さく,寿命も大幅に伸びることが示され,この改善手法が有効であることが実証された.// 次に高面圧下での寿命低下に対する方策について述べる.高面圧下では被膜が破壊して寿命になるため,対策としては被膜の強度向上が考えられるが,実際的には困難である.また通常,片当り等による高面圧は,慣らし運転による接触面の摩耗変形により緩和されるが,二硫化モリブデン焼成被膜のような厚さ10μm程度の被膜では摩耗代が不足する.// そこで,接触面が塑性変形して相手面に倣うことで面圧を緩和する方法を検討した.この目的のためには被膜の下地にアルミ合金などの軟質金属を用いればよいが,一方,被膜を下地に強固に保持するには下地材質は硬くする必要がある.この相反する性質を満たす下地を実現するため,次のような構造を考案した.// 塑性変形を受け持つ軟質金属の上に,硬質被膜を離散的に(島状に)配置し,その上に二硫化モリブデン焼成被膜を施す.このようにすることで,高面圧が作用したときには最下層の軟質金属部分が変形して面圧を緩和する.このとき中層の離散硬質被膜は,離散的であることで自身は変形せずに軟質金属下地の変形に倣うことができる.したがって,軟質下地の変形を阻害することなく,その上の焼成被膜を強固に保持する.// 以上の構造を,軟質下地にアルミ合金を用い,その上にチャンネル型ポーラスクロムメッキを施し,そのチャンネル部分が下地に届くまでエッチングして離散硬質被膜とすることで実現した.この下地に施した二硫化モリブデン焼成被膜の高面圧下での潤滑性能を,ブロックオンリング試験を行って従来の下地のものと比較した.ブロックオンリング試験では,リング側を本下地とし,リングと線接触する形状の硬質ブロックを用い,局所的高面圧を発生させた.// 実験の結果,本下地を用いることで,従来のステンレス下地の20倍以上の寿命を得ることができることが示された.また,試験片の断面観察などにより,本下地は想定どおり,ブロック形状に倣って変形して面圧を緩和していることがわかった.// 以上のように,二硫化モリブデン焼成被膜の寿命メカニズムを解明し,それに基づいて被膜の潤滑性能向上のための方策を提示し,その効果を実証した.これにより,二硫化モリブデン焼成被膜の信頼性と汎用性を従来より大きく向上することができ,応用範囲を広げることができた.","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第16175号"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"7448","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"ヒラオカ, 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