{"created":"2021-03-01T06:19:27.966394+00:00","id":2848,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"d6841377-c6ef-4c56-9857-ad63a874ff87"},"_deposit":{"id":"2848","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2848"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00002848","sets":["75:301:302","9:233:280"]},"item_7_alternative_title_1":{"attribute_name":"その他のタイトル","attribute_value_mlt":[{"subitem_alternative_title":"The conserved protein shugoshin protects centromeric cohesion of sister 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(シュゴシン)を候補として同定し、命名した。//Sgo1は減数分裂特異的に発現し、減数第一分裂の前期から中期にかけてセントロメアに局在し、後期の間に分解されるタンパク質であった。Sgo1が減数第一分裂におけるセントロメアRec8の保護に必要であるかを検討するため、sgo1遺伝子破壊株(sgo1Δ )を作成して減数分裂期のRec8の挙動を観察した。すると、野生型では第一分裂後期においてセントロメアのRec8が残存したのに対し、sgo1 株ではセントロメアのRec8が保護されずに消失していた。これに伴い、sgo1 株では、第二分裂まで維持されるべき姉妹セントロメア間の接着が第一分裂後に失われてしまうことが分かった。続いて起こる第二分裂では、姉妹染色分体ペアの間の接着がすでに失われているために、分裂装置が正しい姉妹染色分体のペアを認識できず、その結果、ランダムな染色体分配が引き起こされていた。以上の結果から、Sgo1は減数第一分裂のセントロメアにおいてRec8をセパレースによる分解から保護する因子であることが明らかになった。//Sgo1と相同性を持つ因子を探索したところ、Sgo1様のタンパク質がさまざまな真核生物で広く見出され、シュゴシンタンパク質ファミリーとして定義できることが分かった。哺乳動物であるヒトおよびマウスにおいては、2つのシュゴシン様タンパク質Sgo1、Sgo2が見出された。分裂酵母におけるシュゴシンの機能が哺乳動物でも保存されているかどうかを検討するため、これらのタンパク質の機能を解析した。//まず、ヒトHeLa細胞においてSgo1およびSgo2の発現を調べると、意外にもいずれのタンパク質も体細胞分裂においても発現していた。またその局在を調べると、いずれも分裂期の前期から中期までセントロメアに局在し、後期の間に消失していた。//哺乳動物における体細胞分裂の分裂期においては、姉妹染色分体間の接着は段階的に解除されることが知られている。DNA合成期に染色体全長に渡って確立した姉妹染色分体間の接着は、まず分裂期の前期と前中期においてコヒーシン複合体が染色体の腕部から解離することで解除される。一方、セントロメアでは分裂中期までコヒーシン複合体の局在が維持される。後期になると、セパレースが活性化し、セントロメアに残ったコヒーシン複合体のRad21サブユニットを切断することで姉妹染色分体間の接着が完全になくなり、染色体分離が引き起こされる。このことから、セントロメアのコヒーシン複合体は分裂前期と前中期の間、解離しないように保護されている可能性が考えられる。//Sgo1とSgo2がこの保護機能に必要である可能性を検討するため、それぞれをHeLa細胞においてRNAiによりノックダウンした。すると、いずれの場合においても、前中期においてセントロメアのコヒーシン複合体が保護されずに失われ、姉妹染色分体が早期に分離してしまった。その結果、紡錘体チェックポイントが活性化され、細胞はこの時期に停止していた。これらのことから、ヒトのSgo1およびSgo2は分裂前中期におけるセントロメアのコヒーシン複合体の保護に必要であることが分かった。//続いて、シュゴシンの作用機構を理解するために、Sgo1に相互作用する因子を探索した。共同研究により、Sgo1を免疫沈降するとプロテインフォスファターゼ2A (PP2A)が特異的に共沈することが分かった。そこで、PP2Aの免疫染色を行ったところ、PP2Aは分裂前期から中期にかけてSgo1と共にセントロメアに局在することが分かった。PP2Aが分裂前中期における接着の保護に必要であるかを探るため、PP2A-AをRNAiによりノックダウンした。すると、やはり分裂前中期において姉妹染色分体が早期に分離してしまうことが分かった。さらに、Sgo1、Sgo2、PP2Aの相互関係を明らかにすることを目的として、それぞれの局在依存性を調べたところ、Sgo2はPP2Aの局在に、PP2AはSgo1の局在に必要であることが分かった。これらのことから、哺乳細胞の分裂前中期においては、PP2AがSgo2依存的にセントロメアに局在し、次にSgo1をリクルートして複合体を形成し、姉妹セントロメア間の接着を保護することが分かった。染色体腕部からのコヒーシンの解離はPoloキナーゼによるコヒーシンサブユニットのリン酸化に依存していることから、Sgo1は、PP2Aのフォスファターゼ活性を利用してPoloキナーゼと拮抗的に働くことで、セントロメアのコヒーシン複合体を保護しているのかもしれない。//以上の解析から、シュゴシンは高度に保存された機能を持ち、酵母では減数分裂で、ヒトでは少なくとも体細胞分裂において姉妹セントロメア間の接着を保護していることが示された。今後は、哺乳動物の減数分裂においても同様の機能を持つか、また、Sgo1がPP2Aと協同してどのようなメカニズムでコヒーシン複合体を保護するのかを調べることが課題となるだろう。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第16423号"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"7468","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"キタジマ, 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