{"created":"2021-03-01T06:20:55.126098+00:00","id":4255,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"38fd4ecb-454a-48aa-a977-7f58abac75d9"},"_deposit":{"id":"4255","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"4255"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00004255","sets":["27:181:287","9:233:280"]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2004-03-25","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2004-03-25"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo 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Matrix: EEM)の特性を比較した。EEMは対象の蛍光強度を、励起波長及び蛍光波長を独立して走査しながら計測して得られ、等高線状のグラフとして表示される。したがって、EEMは吸収と発光の2過程を観察して得られる3次元データであり、2次元データである吸光スペクトルと比較すると取得できる情報量は膨大である。また、EEM計測の既往研究を検討した結果、EEMが生理機能の情報取得や成分同定に有効であると考えられた。このようなEEMの膨大な情報量を活かし、EEMと位置情報を同時に取得して解析する「EEMイメージング手法」を開発することにより、近赤外分光イメージング手法よりも詳細に成分分布を可視化できると考えられた。しかしながら、既往の研究例から、(1)EEMと位置情報を同時に取得する計測システムを開発した報告例がない、(2)EEMの膨大な情報量を損なわずに、その特性を解析した研究が数少ない、などの課題が明らかとなった。そこで、(1)任意波長での対象の励起が可能、(2)任意波長で対象の蛍光観察が可能、(3)対象の任意の位置を計測可能、という3点の特徴を備えた「3次元スペクトルイメージングシステム(Three-Dimensional Spectral Imaging System: 3D-SIS)」を開発した。本システムは近赤外高速ハイパースペクトルシステムと、任意の波長で試料を照明する分光照明部及び試料の任意の深さにおける断面を連続的に露出させる「マイクロスライサ」より構成され、励起波長範囲200?1,000nm、蛍光波長範囲400?1,100nmで、任意の深さにおける試料断面を計測可能である。さらに、3D-SISを用いて得られる膨大なデータを、その情報量を損なうことなく解析するため、EEMの主成分分析と、主成分プロットのL*a*b*色空間への変換、及び計測データの人工彩色により、立体試料におけるEEM特性分布を可視化する手法を開発した。次に、開発した3D-SIS及びEEMイメージングデータの解析・可視化手法の有効性を実証するために、大豆の立体的構造の可視化を試みた。その結果、アリューロン層、胚及び葉脈状構造の存在部位が観察可能となり、それぞれが全く異なるEEM特性を持っていることが明らかとなった。特に、葉脈状構造の特徴的な分布形態が明確に観察でき、本研究で開発した3D-SIS及びEEMイメージングデータの解析・可視化法は、多成分からなる食品の内部構造可視化に有用であることが分かった。そこで、3D-SIS及びEEMイメージングデータの解析・可視化手法を応用し、コショウにおけるγ線照射処理の検知可能性を検討した。その結果、γ線照射の線量が増加するにつれてEEM特性が変化していくことが明らかとなった。 したがって、本研究で開発したEEMイメージング手法により、農産物や食品の流通・処理・加工などの過程における成分やその分布の変質を定量的にモニタリングすることが可能であると考えられ、食品の品質・安全性評価にEEMイメージング手法を応用することの有効性が実証された。以上のように、本論文ではマルチスペクトルイメージングの課題を解決するために新しい計測システムとデータ解析手法を開発し、実際の食品試料に適用することにより、それぞれのシステムや手法の有用性を確認した。その結果、本研究により開発した近赤外分光イメージング手法と試作システムは実用的技術として有効であることを立証したと考えられる。また、EEMイメージング手法におけるEEMと位置情報を同時に取得する試みは、その新規性と有用性に於いて高い評価を受けるものと考えられる。しかも、この手法が食品の内部構造や成分の変質の検知に有効であることを実証できたことにより、マルチスペクトルイメージングの研究・開発分野にブレークスルーをもたらす成果が得られたと考えられた。今後、本研究の成果を融合してシステム化することにより、近赤外分光イメージングとEEMイメージングの手法の双方による計測が可能な「汎用型マルチスペクトルイメージングシステム」の開発が可能となり、このようなシステムにより臨機応変なマルチスペクトルイメージングの利用が実現すると考えられる。また、本研究の成果は、食品内の成分分布と官能評価スコアを比較・検討することにより、消費者の嗜好特性にマッチした新食品の開発を行う研究や、青果物における残留農薬の分布を明らかにして可食部の安全性を定量的に評価する研究など、消費者に安全と安心を届け、食生活にアメニティーをもたらすための食品の品質・安全性評価に応用することが期待される。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲19225"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"9712","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"ツタ, 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