{"created":"2021-03-01T06:20:55.855958+00:00","id":4267,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"07eba1d6-07ca-4d74-9738-e164534c1a60"},"_deposit":{"id":"4267","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"4267"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00004267","sets":["27:123:367","9:233:280"]},"item_7_alternative_title_1":{"attribute_name":"その他のタイトル","attribute_value_mlt":[{"subitem_alternative_title":"Studies on follicle-stimulating hormone in Japanese eel, Anguilla Japonica"}]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2005-03-24","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2005-03-24"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo (東京大学)"}]}]},"item_7_degree_name_20":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(農学)"}]},"item_7_description_5":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"脊椎動物の下垂体から分泌される2種類の生殖腺刺激ホルモン(gonadotropin;GTH)、すなわち卵濾胞刺激ホルモン(follicle-stimulating hormone;FSH)および黄体形成ホルモン(luteinizing hormone;LH)は、個体の性成熟を制御する生殖内分泌系の主要因子である。多くの魚類でLHは単離されその生理作用が詳細に調べられているのに対し、FSHは単離が困難でありその性状・作用ともに不明な点が多い。 ウナギ(Anguilla japonica)は我が国における重要な水産資源のひとつであるが、現在その種苗は全て天然の稚魚に依存している。天然の成熟個体は採捕されていないことに加え、近年、ウナギ天然種苗の捕獲量は減少しつつあり、その人工種苗生産技術の確立が切望されている。ウナギは飼育環境下において自発的に性成熟することはないため、親魚作出には調整が容易なヒトやサケ等のLHを主成分とするGTH画分の投与が行われている。しかし、このような方法を用いても必ずしも良質の受精卵が安定的に得られるわけではく、未だウナギ種苗生産技術の確立には至っていないのが現状である。その理由のひとつとして、投与した他動物種のLHがウナギ自身のGTH、特にFSHの生理作用を補完し得ていないという可能性が繰り返し指摘されてきた。しかし、これまでウナギFSHは物質として得られておらず、その生理作用の詳細は不明である。このようにウナギの生殖内分泌系を理解するための基礎的知見を欠くことが、その種苗生産技術を確立する上で大きな障害のひとつとなっている。 上記の問題を解決する端緒として、本研究では遺伝子工学的手法ならびに生化学的手法を用い、これまで入手困難とされてきたウナギFSHの調製およびその生理活性の解析を試みた。本研究の成果はウナギの性成熟機構の理解のみならず、新たなウナギの人為催熟法開発に向けての有用な知見を提供することが期待される。第1章 酵母発現系を用いた組換えウナギFSHの作製 研究を進める上でウナギFSHを調整することが不可欠であるが、天然物の精製からでは今後の実験を行うのに十分量のウナギFSHを得ることが見込めないと判断した。そこで本研究では、まず組換えウナギFSHの作製系の確立を行った。GTHは各ホルモン間で共通のα鎖およびホルモン特異的なβ鎖(FSHβ,LHβ)の2つのサブユニットからなるヘテロ二量体の糖タンパク質ホルモンである。糖鎖の付加が可能で収量の多い発現系であること、さらに哺乳類のGTHを活性型で発現させた例が報告されていることから、本研究では酵母発現系を採用した。 既にクローン化されているウナギFSHの各サブユニットをコードするcDNAをPCRで加工し、同一ベクターでαおよびFSHβの両サブユニットを発現するベクターを構築した。構築した発現ベクターを用い、メタノール資化性酵母Pichia pastorisを遺伝子相同組換えにより形質転換した。得られた形質転換体をメタノールで発現誘導することで、組換え体を発現させ酵母培養液中へ分泌させた。培養後の上清をSDS-PAGEにより分離後、cDNAより演繹されたアミノ酸配列をもとに作製した抗血清を用いたwestern blot解析に供し、組換えFSHの各サブユニットが発現していることを確認した。その後、上清をエタノール沈殿、ゲル濾過に供し組換え体の回収を行った。ウナギ未熟精巣を用いて生殖腺刺激活性を調べた結果、組換えウナギFSHはヒト絨毛性GTH(hCG)と同様に、未成熟精巣からのテストステロン(T)および11-ケトテストステロン(11-KT)分泌を有意に促進した。組換えウナギFSHの活性量を国際単位として定められているhCGの活性単位(IU)により標準化したところ、本発現系において発現誘導後の酵母培養液1Lに含まれる活性は約1,500IUであった。第2章 未成熟ウナギ下垂体からの天然型ウナギFSHの単離・精製 ウナギFSHはその遺伝子発現の動態から、主に未成熟個体の下垂体に存在すると考えられる。しかし、未だその化学構造および生理活性について解析された例はない。また、組換え体が真に天然物ウナギFSHの生理活性を反映しているかを確認する必要性もある。そこで、得られる天然物は微量であることが予想されたが、その化学構造および生理作用の解析を目的に、未成熟な飼育ウナギの下垂体から天然ウナギFSHの単離を試みた。 ウナギFSHβ抗血清に対する免疫反応性を指標に、未成熟ウナギの下垂体抽出物をゲル濾過クロマトグラフィーおよび数段階の陰イオン交換クロマトグラフィーに付し、ウナギFSHを精製した。精製したFSHは約33kDaのタンパク質で、各サブユニットはそれぞれAsn結合型糖鎖によって修飾されていた。さらにウナギFSHは酸性溶液中において各サブユニットが解離する酸不耐性構造を有しており、酸耐性構造をもつサケ科等のFSHとは異なる化学構造であることが示唆された。また未成熟ウナギ下垂体の免疫組織化学により、魚類のGTH産生部位として知られる前葉主部に抗FSHβ血清に対する免疫陽性反応が確認された。精製したウナギFSHを活性試験に供した結果、未成熟ウナギの下垂体抽出物、hCG、および酵母で作製した組換えウナギFSHと同様に、精製ウナギFSHは用量依存的にTおよび11-KTの分泌を促進した。これらの結果より、酵母で作製した組換えウナギFSHは天然型ウナギFSHと同様の生殖腺刺激作用を有することが示された。第3章 組換えウナギFSHの雌雄生殖腺における性ステロイド産生作用の解析 ウナギ未成熟精巣に対するFSHの生理活性は示されたが、成熟の進んだ精巣あるいは卵巣の発達にどのようにウナギFSHが関与するかは不明である。そこで、人為的に成熟を進行させたウナギ精巣および卵巣を用意し、異なる成熟段階の生殖腺におけるウナギFSHの性ステロイド産生に与える影響を調べた。作製した組換え体が天然型と同様の生理作用を有することが前章で判明したため、本章では組換えウナギFSHを用いて実験を行った。 組換えウナギFSHは未熟期の精巣におけるTおよび11-KTの分泌を顕著に促進したが、成熟の進行した精巣ではT,11-KTおよび17α,20β-ジヒドロキシ-4-プレグネン-3-オンの分泌を促進することはなかった。そのためウナギFSHは成熟が進んだ状態よりも、むしろ未成熟な状態の精巣において重要な働きをもつことが考えられた。一方、前卵黄蓄積期あるいは卵黄蓄積初期の卵巣は未熟な卵濾胞をもち、組換えウナギFSHによりTおよびエストラダイオール-17β(E2)の分泌は促進されなかった。卵黄蓄積が進み、卵黄蓄積初期から卵黄蓄積中期にかけての卵巣では、組換えウナギFSHはTの分泌を用量依存的に促進したが、E2分泌には影響しなかった。この時期の卵濾胞はT産生を担う莢膜細胞が発達しているが、E2産生に重要な顆粒膜細胞は未発達であった。さらに発達した卵巣では卵黄蓄積中期の卵をもち、莢膜・顆粒膜の二細胞系共によく発達した卵濾胞を有していた。このような卵巣において、組換えウナギFSHは用量依存的にTおよびE2の分泌を促進した。従って、ウナギFSHの卵巣における性ステロイド産生能は卵濾胞が十分に発達する卵黄蓄積期の間に上昇することが示された。第4章 組換えウナギFSHの化学構造、比活性および生体内投与の検討 今後、組換えウナギFSHの有効利用を目指す上で、その詳細な化学構造、比活性およびin vivoにおける生理活性についての知見は必須である。そこで、組換えウナギFSHの精製を行い、その構造および活性をより詳細に解析し天然型との比較を行った。また、組換えウナギFSHを未成熟ウナギに投与し、生体内での組換えウナギFSHの生理作用を検討した。 組換えウナギFSHを含む酵母培養上清をゲル濾過および数段階の陰イオン交換クロマトグラフィーに付し、抗ウナギFSHβ血清に対する免疫反応性および未成熟ウナギ精巣における11-KT産生促進を指標に、生理活性型組換えウナギFSHを精製した。酸耐性試験において、精製した生理活性型組換えウナギFSHは天然型と同様に酸不耐性を示した。生理活性型組換えウナギFSHの活性は天然型と比較して1/100程度であったが、天然型と組換え体の糖鎖構造の差異がその比活性に影響を与えているものと考えられた。 海水条件化に馴致した飼育雄ウナギに0.1IU/gおよび1.0IU/gの濃度で12日間に3回の組換えウナギFSHの投与を行ったところ、生理食塩水投与群と比べ1.0IU/gの組換えウナギFSH投与群において生殖腺体重比の有為な増加が認められた。また、投与した組換えウナギFSHの用量依存的に血中11-KT量に顕著な増加が認められた。以上の結果より、本研究で作製した組換えウナギFSHは、生体内においても生理活性を発揮しうることが示された。 以上のウナギFSHに関する研究より、以下の知見を得ることができた。1)酵母発現系を用いて生理活性を有する組換えウナギFSH発現系を構築した。2)未成熟ウナギ下垂体中には天然型ウナギFSHが蓄積されており、精製した天然型ウナギFSHは組換えウナギFSHと同様の生理活性を有していた。3)組換えウナギFSHは、未成熟期の精巣において顕著な性ステロイド分泌活性を示した。一方、卵巣では卵黄蓄積開始時と比べて成熟が進んだ卵黄蓄積中期の卵巣においてより効果的に性ステロイド分泌を促進した。4)精製した生理活性型組換えウナギFSHの比活性は、天然型と比べ1/100程度であった。5)組換えウナギFSHは生体内投与により未成熟雄ウナギの血中性ステロイド量を増加させ、生殖腺発達を誘導した。 本研究により天然型および組換え体ウナギFSHが物質として調整可能となり、それらの生理作用の一端を明らかにすることができた。また、組換えウナギFSHは生体内においても活性を有しており、今後の人為催熟にも応用可能であることが示された。これらの成果をもとに、ウナギの生殖内分泌系の更なる理解とともに、ウナギ自身のFSHを用いた新たな催熟技術の開発が期待される。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲20178"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"9736","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"カメイ, ヒロヤス"}]}]},"item_7_identifier_registration":{"attribute_name":"ID登録","attribute_value_mlt":[{"subitem_identifier_reg_text":"10.15083/00004258","subitem_identifier_reg_type":"JaLC"}]},"item_7_select_21":{"attribute_name":"学位","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"doctoral"}]},"item_7_subject_13":{"attribute_name":"日本十進分類法","attribute_value_mlt":[{"subitem_subject":"487.66","subitem_subject_scheme":"NDC"}]},"item_7_text_22":{"attribute_name":"学位分野","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"Agriculture (農学)"}]},"item_7_text_24":{"attribute_name":"研究科・専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"Department of Aquatic Bioscience, Graduate School of Agricultural and Life Sciences (農学生命科学研究科水圏生物科学専攻)"}]},"item_7_text_27":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"博農第2861号"}]},"item_7_text_4":{"attribute_name":"著者所属","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"亀井, 宏泰"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"9735","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]}]},"item_files":{"attribute_name":"ファイル情報","attribute_type":"file","attribute_value_mlt":[{"accessrole":"open_date","date":[{"dateType":"Available","dateValue":"2017-06-01"}],"displaytype":"detail","filename":"K-120178.pdf","filesize":[{"value":"9.7 MB"}],"format":"application/pdf","licensetype":"license_note","mimetype":"application/pdf","url":{"label":"K-120178.pdf","url":"https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/4267/files/K-120178.pdf"},"version_id":"2a1eb68f-df00-484a-b812-b709a023ebe4"}]},"item_language":{"attribute_name":"言語","attribute_value_mlt":[{"subitem_language":"eng"}]},"item_resource_type":{"attribute_name":"資源タイプ","attribute_value_mlt":[{"resourcetype":"thesis","resourceuri":"http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec"}]},"item_title":"ウナギの卵濾胞刺激ホルモンに関する研究","item_titles":{"attribute_name":"タイトル","attribute_value_mlt":[{"subitem_title":"ウナギの卵濾胞刺激ホルモンに関する研究"}]},"item_type_id":"7","owner":"1","path":["280","367"],"pubdate":{"attribute_name":"公開日","attribute_value":"2013-01-16"},"publish_date":"2013-01-16","publish_status":"0","recid":"4267","relation_version_is_last":true,"title":["ウナギの卵濾胞刺激ホルモンに関する研究"],"weko_creator_id":"1","weko_shared_id":null},"updated":"2022-12-19T03:46:00.307329+00:00"}