{"created":"2021-03-01T06:20:55.917848+00:00","id":4268,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"e06e8444-30f5-4b49-b7a3-50729fd6de2d"},"_deposit":{"id":"4268","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"4268"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00004268","sets":["27:123:367","9:233:280"]},"item_7_alternative_title_1":{"attribute_name":"その他のタイトル","attribute_value_mlt":[{"subitem_alternative_title":"Effects of infection with the monogenean Neoheterobothrium hirame on the survival of wild olive flounder Paralichthys 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ヒラメ漁獲量の減少がみられている西部日本海では本虫の寄生率が高く、本虫の寄生による貧血が高頻度にみられる。また、その他の海域でも本虫の出現時期と漁獲量減少の時期が一致することなどから、本虫の寄生が天然ヒラメ資源減少の原因であることが示唆されている。一方、通常の飼育環境下では本虫の寄生による死亡はほとんどみられず、また本虫の寄生は日本各地でみられるのに対し、漁獲量の減少は一部海域でのみ顕著である。このことから、本虫と資源減少の関係は少ないとする見方もある。しかし、これまで両者の因果関係についての研究は断片的でその解明を目指した総合的な研究は行われていなかった。そこで、本研究はこの因果関係を明らかにすることを目的とした。まずヒラメ漁獲量の減少と本虫の寄生状況の関連を把握するため、漁獲の減少がみられる海域と漁獲が比較的安定している海域間で本虫の寄生動態を調べた。これによって得られたデータから、寄生数には冬季の低水温が大きな影響を及ぼしていると考え、低水温が本虫に与える影響を実験的に調べた。さらに、本虫の寄生が間接的にヒラメ稚魚の死亡に関与しているとの仮説を検証するため、実験感染させたヒラメ稚魚の活動パターン、潜砂行動、遊泳行動、被食、摂餌行動、飢餓耐性、およびウィルス性疾病への感受性を調べた。2.天然調査による寄生動態の比較 ヒラメ漁獲量の減少は西部日本海で顕著であるが、北部太平洋岸での漁獲量は安定している。そこで、これらの海域における本虫の寄生動態を比較した。2002年-2004年に、福井県小浜湾と岩手県宮古湾から毎月ヒラメ(0-1才)を採集し、寄生状況ならびに寄生虫の発育状態を調べたところ、寄生数は秋に急増し、12-2月に最高値に達した後、減少するという冬高夏低の傾向がみられた。両海域の寄生率はともに90%に達したのに対し、寄生数は小浜湾の方が4倍近く高い月もあるなど、両海域で顕著な差がみられた。また、寄生虫の発育段階を月毎に調べた結果、0才魚に寄生がみられはじめてから寄生数が最高値に達する約半年間の本虫の感染サイクルは小浜湾では3-4回、宮古湾では2回程度であることが示唆された。 これらの結果から漁獲量の減少がみられる海域では寄生数が高いことが明らかになり、寄生数調査の重要性が示唆された。また海域によって本虫の寄生動態が異なるため、何らかの海域特性が本虫の増減に影響しているのではないかと考えられた。3.低水温下における本虫孵化幼生の着定とその発育 本章では、前章で明らかになった寄生動態の違いの原因を明らかにするため、両海域における違いが顕著で、本虫に対する影響が大きいと思われる水温に焦点を当てて実験を行った。小浜湾の年間平均水温は18℃と比較的温暖であるが、宮古湾では平均水温が10℃以下の月が年間4-5ヶ月ある。しかしこれまで、10℃以下の水温での本虫の発育等は調べられていなかった。 低水温下における本虫の感染力を調べるため5℃、10℃、20℃において6穴ウェルプレート内に置いたヒラメ鰓片への孵化幼生の着定を24時間観察したところ、水温と着定数には負の相関がみられ、5℃では20℃の30%程度の着定しかみられなかった。また本虫を寄生させたヒラメ稚魚を8℃と20℃で105日間飼育し、虫体の発育を定期的に観察した結果、8℃では著しい成長の遅れと未成熟虫数の減少がみられ、低水温により本虫が死亡又は脱落したと推察された。これらの結果から、低水温は本虫寄生の阻害要因となることが示唆され、宮古湾における低い寄生強度は冬季の低水温による影響が大きいと考えられた。4.寄生を受けた稚魚の行動と被食 これまで、天然ヒラメにおける減耗の多くは被食によると考えられている。本章では本虫の寄生によりヒラメ稚魚が被食されやすくなる、という仮説を検証するため、実験感染魚の行動並びに被食を非感染魚と比較した。 本虫を寄生させたヒラメ稚魚を砂を敷いた水槽に入れ、各個体の潜砂率ならびに活発に遊泳をしている魚の割合を1時間毎に24時間観察し、対照区と比較した。その結果、感染魚は底砂からの体表露出面積が多く、非感染魚とは異なり午前3時をピークに夜中に活発に活動していることが分かった。さらに、回流水槽内でヒラメの持続遊泳時間を調べたところ、感染魚の遊泳時間は非感染魚に比べ著しく短かった。さらに、感染および非感染ヒラメ稚魚を水槽内で大型のヒラメ(捕食者)と同居飼育したところ、感染稚魚の被食率がより高いことが分かった。以上の結果から、本虫がヒラメ稚魚の行動に影響を与え、被食率を高めていることが明らかになり、天然の海でも本虫の寄生によってヒラメ稚魚の死亡が高まることが推察された。5.感染稚魚の摂餌と飢餓耐性 飢餓は天然海域においては被食と共に稚魚の減耗に深く関わっている要因の一つと考えられる。前章の実験で本虫はヒラメ稚魚の行動に影響を与えることから、本虫の寄生は摂餌行動にも影響を及ぼし、摂餌能力の低下を招いていると考えられた。さらに、本虫による吸血で、寄生を受けた稚魚では飢餓への耐性が低下することも想像され、本章ではこれらの仮説を検証するために実験を行った。 まず、感染魚と非感染魚5尾ずつを同時に入れた水槽に生きたイサザアミを投与し、摂食したアミ数を比較したが、両者の間に差はみられなかった。しかし、感染魚では摂食したアミの数と虫数の間に負の相関関係が認められた。次に、イサザアミに対する摂食行動を30分間ビデオ撮影し、比較した結果、感染魚は摂食行動中の離底時間が長く、遊泳高度も高い傾向にあることがわかり、捕食者からの攻撃をより受けやすいと考えられた。さらに、感染魚では捕食を伴わない離底行動もみられ、迷走型の遊泳が多い傾向にあった。一方、非感染魚では短距離しか移動しない瞬発型摂食行動が多くみられるなど両者の摂食行動パターンの差異が明らかになった。 最後に、重度感染と軽度感染のヒラメを作出し、非感染魚とともに3ヶ月間無給餌飼育してこれら3群の肥満度の推移や生存を比較したが、有意な差はみられなかった。6.ウイルスとの混合感染 これまでの知見から、本虫の寄生はヒラメの直接の死亡原因とは考えにくいが、寄生によって他の疾病への感受性が高まることは十分に考えられる。ウィルス性出血性敗血症ウィルス(VHSV)はこれまで天然魚からも確認され、養殖場等では大量死を引き起こしている病原性の強い病原体である。 そこで本虫に感染させたヒラメ稚魚にVHSVによる攻撃した魚(混合感染魚)について、その後の死亡を、本虫のみ感染魚、ウィルスのみ感染魚、非感染魚と比較したところ、混合感染区における死亡が最も高かった。しかしながら、水槽間による死亡の差が大きく、混合感染死亡魚の半数近くからはウィルスが検出されなかった。このことから、混合感染を受けたヒラメは死亡率が増加することは明らかとなったが、本虫感染がVHSVの感受性を高めるか否かは不明瞭であった。 これまでの研究から、VHSV感染から生存したヒラメはキャリアになり、ストレスによって体内ウィルス量が再度増加することが分かっている。そこで、VHSVの筋肉注射後に生存した魚に寄生虫を感染させ(混合感染区)、寄生虫のみ感染魚、ウィルスのみ感染魚、非感染魚との間で死亡数を比較した。その結果、混合感染区で最も死亡が多かったが、ウィルス感染区、寄生虫感染区にも死亡がみられた。しかし、死亡魚からウィルスは検出されなかったため、死因の特定には至らなかった。7.総合考察 本研究では天然調査と室内実験から、ヒラメ漁獲量が急減している海域では本虫の寄生数が多く、その傾向は水温に依存すること、本虫の寄生はヒラメ稚魚の行動に影響を与え、感染魚は被食されやすくなること、VHSVと本虫の混合感染はヒラメの死亡を高めることを明らかにした。これらのことから、当初の目的であった、本虫とヒラメ資源減少の因果関係を示唆する知見が得られた。しかし、宿主サイズ、寄生強度と行動の変化との関係や、ウィルス感染実験における死亡原因など、今後さらなる調査が必要な課題も残った。 本研究では本虫の影響を稚魚でのみ検証したが、寄生が産卵行動や産卵数等ヒラメの生殖に及ぼす影響を確認することも重要であると思われる。また、本虫は流行直後からその動向が把握されており、天然ヒラメ調査の継続は移入寄生虫の動向を把握する上で重要である。近年の海外からの活魚、種苗、ペット等の輸入水生動物の増大に伴い、それらに付随してくる病原体による天然資源への影響が懸念されるケースが増えている。ヒラメのネオヘテロボツリウム症はこれら移入病原体による天然資源への影響を把握するモデルケースとして貴重かつ重要な研究課題であり、今後も引き続いた調査研究が必要であると考える。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲20180"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"9738","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"シラカシ, 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