{"created":"2021-03-01T06:20:56.769641+00:00","id":4282,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"0ea63a35-cd19-4a88-8ff8-01f1c9a8b9f7"},"_deposit":{"id":"4282","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"4282"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00004282","sets":["27:123:367","9:233:280"]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2006-03-23","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2006-03-23"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo 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解析や全ゲノム解析による遺伝情報の蓄積も著しい。しかしながら、メダカではこれらの特性を利用した温度適応分子機構に関する研究はほとんどない。本研究ではこのようなメダカのゲノム情報や遺伝的特性に着目し、種々の地域集団由来の培養細胞を用いて、細胞レベルでの温度適応能を調べた。次に、ESTデータベースを利用して温度適応関連候補遺伝子を選抜し、それら遺伝子の温度依存的な発現の有無を調べた。さらに、メダカESTライブラリーを利用してcDNAマイクロアレイを作製し、増殖適性温度が大きく異なる北日本および南日本集団由来の培養細胞を対象に培養温度を変化させたときの遺伝子発現プロファイルを網羅的に調べた。得られた研究成果の概要は以下の通りである。メダカ各地域集団由来培養細胞株の温度依存的な増殖と遺伝子発現東京大学の三谷らから供与された北日本集団メダカHNI近交系尾鰭由来OLHNI-1およびOLHNI-2、同胚体由来OLHNI-e1、同集団Kaga近交系胚体由来OLKaga-e2の4株、南日本集団メダカHdrR近交系胚体由来OLHdrR-e3、同集団CAB系統尾鰭由来OLCAB-2、同胚体由来OLCAB-e1、OLCAB-e3の4株、東韓集団メダカSOK近交系胚体由来OLSOK-e7株、さらに対照として東南アジアに生息するセレベスメダカ胚体由来CE-1の線維芽細胞を実験に供した。北日本および東韓集団由来各細胞株は、33℃から15℃へ移行した後11日目で33℃のときの2倍以上の細胞数を示した。南日本集団由来各細胞株およびセレベスメダカ由来CE-1株ではこの温度で、細胞数は一定もしくは逆に減少傾向にあった。一方、33℃から4℃へ温度移行したところ、北日本集団由来OLHNI-2、OLKaga-e2株および東韓集団由来OLSOK-e7株では細胞数はほとんど変化しなかったが、その他の細胞株は減少傾向を示した。とくに、セレベスメダカ由来CE-1株は3日後にはほとんどすべての細胞が死滅した。次に、温度依存的な発現変動が示唆されている既報の102遺伝子の配列をメダカESTデータベースから抽出し、25℃で7日間培養した北日本集団由来OLHNI-1株を対象にRT-PCRに供して、33℃で同日数培養したものの遺伝子発現と比較した。その結果、heat shock protein 47遺伝子(HSP47)は33℃の方で、inhibitor of nuclear factor-κB遺伝子(IκBα)およびRab family protein 1c遺伝子(Rab-1c)を含む11遺伝子は25℃の方でmRNA蓄積量が高かった。さらに、RT-PCRにより温度依存的な発現が明瞭に示されたIκBαおよびRab-1c両遺伝子につき、北日本、南日本および東韓集団由来細胞のそれぞれOLHNI-1、OLHdrR-e3およびOLSOK-e7株を15℃で7日間培養して定量的リアルタイムPCRに供し、33℃で同日数培養したものと比較した。その結果、OLHNI-1およびOLSOK-e7株の33℃におけるIκBαのmRNA蓄積量は15℃での蓄積量に比べてそれぞれ4および3倍と有意に高かった。一方、Rab-1cのmRNA蓄積量はOLHNI-1およびOLSOK-e7株で33℃に比べて15℃でそれぞれ2および3倍と有意に高かった。以上の結果から、いくつかの遺伝子でmRNA蓄積量が異なる温度依存性を示すことが明らかになった。メダカcDNAマイクロアレイの構築メダカを対象に温度依存的な遺伝子発現を網羅的に解析するため、メダカESTライブラリーを利用したcDNAマイクロアレイの作製条件を検討した。まず、ESTデータベースから個々のクラスターに含まれる代表的なクローンを選別した。すなわち、北日本集団HNI近交系の尾鰭由来OLHNI-1株、そのUV照射およびγ線照射細胞、さらには同系統の卵巣および肝臓から構築した各cDNAライブラリーからそれぞれ、1233、268、174、1549、および325クローンの、計3549クローンをin silicoで選択した。次に、各クローンにつき汎用プライマーを用いたPCRで挿入配列を増幅し、MATSUNAMI社製のAPSコート、poly-L-lysineコート、高密度化アミノ基導入およびDMSO対応高密度化アミノ基導入の計4タイプのスライドグラスに供試した。さらに、DNA溶解液としてMATSUNAMI社製Spotting Solution、50% DMSO、およびSpotting Solutionと50%DMSOの1:1混合の溶液を用いてスライドグラスへのDNAの固定方法を検討した。その結果、DMSO対応高密度化アミノ基導入スライドグラスおよび50%DMSOを加えたDNA混合溶液がスポットの形状および大きさともに最適であった。この条件下で各クローンを対象に、1枚のスライドグラス上にPCR産物を2スポットずつ、またネガティブコントロールとして用いる人工DNAのスポットを含む、計7680スポットからなるcDNAマイクロアレイを作製した。cDNAマイクロアレイを用いたメダカ温度適応関連遺伝子の網羅的探索マイクロアレイ実験はloop designを用いて行った。まず、25℃で1ヶ月以上継代した北日本集団由来OLHNI-e1株を33℃または15℃へ移行し、0、1、3、12時間、および1、3、7日後に全RNAを抽出した。次いで、各処理時間の細胞由来の全RNAを鋳型に、アミノアリル法によりCy3TMまたはCy5TMで標識したcDNAプローブを調製した。異なる蛍光物質で標識した2つの処理時間由来のcDNAプローブを混合し、前節で作製したcDNAマイクロアレイに対してハイブリダイゼーション後、マイクロアレイスキャナーにより蛍光画像を取り込み、専用ソフトウェアによる画像解析に供した。各アレイにおけるシグナル強度比を中央値で標準化し、ANOVAによる統計解析を行ったところ、全3549クローン中、33℃培養細胞で153クローン、15℃培養細胞で348クローンがいずれかの処理時間の間で有意差(P<0.05)を示した。これらのクローンでは、33℃移行3時間後にmRNA蓄積量が大きく増大または減少した。興味深いことにその増大および減少傾向は移行3日後に逆転し、さらに7日後では3時間後と同様の傾向に復元した。一方、15℃移行1時間後に多くのクローンでmRNA蓄積量が減少し、3時間後では逆に増大する傾向を示した。その後、各クローンのmRNA蓄積量は経時的に増大または減少し、一定の傾向は認められなかった。次に、25℃で1ヶ月以上継代した南日本集団由来OLHdrR-e3株につき15℃へ移行後0、3、12時間、および1、3日後に細胞を採取し、上記の北日本集団由来OLHNI-e1株と同様の方法で解析試料を調製した。両株で細胞増殖能に差のみられた15℃で遺伝子発現プロファイルを比較したところ、15℃移行後3日目で127クローンのmRNA蓄積量が両株間で有意に異なった(P<0.05)。すなわち、gelsolin、myosin light chain kinase isoform 6、ribosomal protein L22 proproteinおよびtudor domain containing 7をコードするクローンのmRNA蓄積量はOLHNI-e1株で温度移行3時間後から増大傾向にあったが、OLHdrR-e3株では逆に減少した。これらのクローンは細胞増殖、シグナル伝達、タンパク質合成および転写に関わる遺伝子で、OLHNI-e1およびOLHdrR-e3株間で15℃における代謝応答が大きく異なることが明らかとなった。以上、本研究によりメダカの遺伝的特性を利用して温度適応に関する実験を行ったところ、各地域集団の温度適応能が細胞レベルで異なることが明らかとなった。また、メダカESTデータベースおよびライブラリーを利用してcDNAマイクロアレイ技術を確立し、これを用いて北日本および南日本集団メダカ由来細胞の温度適応能が遺伝子レベルで制御されていることを示した。これらの成果は変温動物の環境温度変化に伴う遺伝子ネットワークのダイナミズムについて、その一端を明らかにしたもので比較生化学的に資するところが大きく、生息適温が大きな限定要因となっている水産増養殖にも基礎的知見を与えるものである。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲21287"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"9766","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"ヒラヤマ, 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