{"created":"2021-03-01T06:20:57.078747+00:00","id":4287,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"313d15a6-4d19-419a-8e3b-9de56fc13778"},"_deposit":{"id":"4287","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"4287"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00004287","sets":["27:214:366","9:233:280"]},"item_7_alternative_title_1":{"attribute_name":"その他のタイトル","attribute_value_mlt":[{"subitem_alternative_title":"Basic studies for canine contagious viruses"}]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2006-03-23","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2006-03-23"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo 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CPV)について、基礎的研究を行った。イヌジステンパーウイルス(CDV)はパラミクソウイルス科モービリウイルス属に属し、麻疹ウイルスや牛疫ウイルス、小反芻獣疫ウイルスと近縁のウイルスである。他のモービリウイルスと同様に高病原性ウイルスで、発熱、胃腸炎、肺炎、結膜炎、脳脊髄炎などを引き起こし子犬では高い致死率を示す。感染伝播は主に飛沫感染、直接接触、ウイルス汚染物質との接触による。主な感染ルートは上部気道からのウイルス吸入であり、吸入されたウイルスはマクロファージに貪食されて近接するリンパ節に到達し、そこで増殖する。増殖したウイルスは感染後2?5日で急速に全身のリンパ節に広がり6?9日目でウイルス血症を呈する。次いでウイルスは気道、消化管、泌尿生殖器の上皮や中枢神経に広がり発症に至る。感染後数週間ウイルスを排出するが、完全に回復すればウイルスの排出は起こらない。弱毒化生ワクチンの接種や自然感染からの回復によって、ヒトの麻疹と同様に終生免疫を獲得すると考えられている。CDVが属する一本鎖マイナス鎖RNAウイルス(モノネガウイルス)では、長い間ゲノムcDNAクローンから感染性ウイルスを作出することができなかった。しかし、1994年に狂犬病ウイルスにおいて初めて感染性ウイルス作出系(リバースジェネティクス系)が開発され、著者らの研究グループも1999年に世界で初めてCDVリバースジェネティクス系の開発に成功した。リバースジェネティクス系により、ウイルス構成遺伝子の欠失や交換、変異の導入や外来遺伝子の挿入を行った組換えウイルスの作出が可能になった。その結果、性質の異なるウイルス株での遺伝子解析の比較だけではわからなかった、病原性の決定機序や特異的な宿主を決定する機構等のウイルス学上重要な問題の解明に大きく寄与することとなった。そして、液性免疫だけではなく細胞性免疫を誘導する優れた特性を生かしたウイルスベクターの開発やその応用も盛んに進められている。イヌパルボウイルス(CPV)はパルボウイルス科パルボウイルス亜科パルボウイルス属に属し、ネコパルボウイルス (FPV)と極めて近縁のウイルスであり、遺伝子配列の相同性は99%以上を示す。FPVは1920年代以前からネコの病原体として知られており、後にミンク、キツネ、アライグマなどの肉食動物にも感染することが明らかになった。1970年代に初めてイヌへの感染が報告されて以来、感染が世界中に急速に拡大した。最初の流行はCPV-2型であったが、1979年には新しい2a型 (CPV-2a)が出現し、わずか一年で流行の主流は2a型に置き換わった。2a型は宿主域も変化しており、ネコへの感染も見られた。その後1984年には2b型(CPV-2b), 2000年代初頭には2c型 (CPV-2c)という新たな抗原型が出現した。現在概ねワクチンにより流行はコントロールされているが、比較的短期間にウイルスの抗原変異は起こることから、新型のウイルス株の出現が予想された。本研究では、CDVの持続感染機構の解明に有用なツールとして、蛍光蛋白GFP発現組換えCDVを用いて、リンパ球系細胞おいて新たにCDV持続感染株を樹立して持続感染機構の解析を行った。(第一章)。また、CDVをウイルスベクターとしたイヌに対する組換え多価ワクチンウイルス開発の基礎研究として、CPVの主要抗原VP2を組み込んだ組換えCDVの作出を試みた(第二章)。そして、近年日本で分離したCPVについて系統樹解析を行った。(第三章)。第一章:GFP発現CDV持続感染株の樹立と性状解析持続感染は終生免疫の成立に重要な役割を果たすと考えられているが、持続感染の成立機構や機序は明らかになっていない。本章では、感染細胞で蛍光を発するGFP発現組換えCDV(CDV-GFP)をリンパ球由来のB95a細胞に感染させて、新たに持続感染株(CDV-GFP-BP2)を樹立しその性状解析を行った。CDV-GFPをリンパ球系継代細胞(B95a細胞)に感染させて継代・選別し、持続感染株(CDV-GFP-BP2)を樹立した。蛍光を指標に培養中の感染細胞を同定できるため、以前の持続感染株と比較すると少ない継代数で樹立することができた。CDV-GFP-BP2は感染B95a細胞で細胞融合性巨細胞の形成が認められず、非感染細胞と同様の細胞生存率を示した。元株CDV-GFPと比較して、同様のウイルス増殖と細胞外へのウイルス粒子の放出を行っていることがわかった。また、CDVの細胞侵入の役割を担う膜蛋白HとFの発現様式を比較したところ、感染細胞での両膜蛋白のmRNA量、蛋白量、細胞表面での局在に変化は認められなかった。持続感染株の各構成蛋白の塩基配列を決定して元株と比較したところ、HとM蛋白にそれぞれ一ヶ所ずつアミノ酸変異があることがわかった。リンパ球でのレセプターであるSLAMを導入した細胞を用いた実験では、CDV-GFP-BP2は元株よりも細胞融合能が減少していることが明らかになった。細胞融合には膜蛋白HとFの相互作用が必要であることから、Hのアミノ酸置換はFとの相互作用の減少をもたらし、持続感染を引き起こしている可能性が考えられた。第二章:イヌ主要病原性ウイルス抗原を発現した組換えCDVの開発本章では、CDVをウイルスベクターとした多価ワクチン開発の基礎的研究として、イヌにおいて重要なウイルス性病原体の抗原を組み込んだ組換えCDVの作出を試みた。抗原としてイヌパルボウイルスのカプシド蛋白VP2を選び、CDV cDNAプラスミドのN-P遺伝子間に挿入し、リバースジェネティクス法を用い、組換えCDVの作出に成功した。得られた組換えウイルスCDV-CPV-VP2は、元株Yanaka株と比べウイルス増殖速度と細胞融合性巨細胞の形状に顕著な差異は認められなかった。しかし、特異抗体を用いて外来蛋白VP2の発現を蛍光免疫染色と免疫沈降法で調べたところ、ともに感染B95a細胞でVP2の発現が確認できなかった。Northern blot法でmRNA発現を調べたところ、N-VP2間でリードスルーが高頻度で起こり、VP2を翻訳しないbicistronicなmRNAが主に転写されていることが明らかになった。得られたウイルスの転写シグナル配列を調べたが変異はみられなかった。従って、原因としてVP2遺伝子内リードスルーを誘発する配列が存在するか、VP2蛋白は核内に集積することがウイルスの増殖や宿主細胞の生存を妨げている可能性が考えられたため、VP2上流にGFPを付加した遺伝子(GFP-VP2)と更に膜局在シグナルを付加した遺伝子(GFP-VP2-tm)を発現プラスミドに組み込んだ。それぞれの遺伝子導入細胞では蛍光が観察され、GFP-VP2-tmは膜に局在を示したが、多くの導入細胞で浮遊がみられ細胞死が起こっている傾向にあった。これら遺伝子断片をCDV cDNAプラスミドに組み込み、リバースジェネティックス法を試みたが、組換えCDVの作出に至らなかった。以上の結果から、VP2 の発現がウイルスの増殖や宿主細胞の生存を妨げるために、CPV-VP2発現組換えCDVが作出できなかったと考えられた。これらの結果は今後の組換えCDVの作出に寄与する重要な知見と考えられた。第三章:イヌパルボウイルスVP2遺伝子の系統樹解析CPVは幼若イヌで嘔吐、下痢、白血球減少などを伴う重篤な感染症を起こす。CPVの発見は1970年代と比較的新しく、その後短期間に抗原変異を繰り返し宿主域の変化も見られた。また、現在弱毒生ワクチンとして使用されている株の遺伝子型は初期の流行株で現在の野外流行株とは異なるため、将来現在のワクチンが有効でなくなる可能性もある。よって、近年の野外流行CPV株の疫学的動向を調べることは極めて重要である。本章では、1999年と2000年に日本国内CPV感染7症例よりCPVを分離して、ウイルスカプシドの大半を占め宿主域決定や中和抗体誘導に関連するVP2蛋白をコードする遺伝子の塩基配列を決定した。その結果、7株中3株がタイプ2aに、残りの4株がタイプ2bに分類され、近年の日本や台湾の野外株クラスターに分類されベトナムの野外株とは異なることが示唆された。本研究では、第一章では、GFP発現CDV持続感染株を新たに樹立し、持続感染の成立機構とその機序を示唆することができた。第二章では、CPVの抗原遺伝子VP2を組み込んだ組換えCDVの作出を試み、今後の組換えCDV多価ワクチンの開発につながる有用な重要な知見を得ることができた。そして、第三章では、近年わが国でのCPV感染症についての系統樹解析により疫学的傾向を示すことができた。本研究により、CDV及びCPVの基礎的研究のみならず、ウイルスベクターの開発を大きく進展させる有用な成果を示すことができたと考える。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲21325"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"9776","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"ドキ, 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