{"created":"2021-03-01T06:20:57.577715+00:00","id":4295,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"4bd115d7-fffb-4d49-834e-07535a8a7102"},"_deposit":{"id":"4295","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"4295"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00004295","sets":["27:284:285","9:233:280"]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2007-03-22","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2007-03-22"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo (東京大学)"}]}]},"item_7_degree_name_20":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(農学)"}]},"item_7_description_5":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"カルバゾール(CAR;図1)は原油やコールタール中に含まれ、染料、殺虫剤、潤滑油などの原料として産業面で広く使用されているが、難分解性、変異原性を有する環境汚染物質でもある。CARはその化学構造からダイオキシン類のモデル化合物としても注目され、環境浄化への応用へ向けたCAR分解菌の精力的な研究が行われてきた。これまでにPseudomonas resinovorans CA10株、Janthinobacterium sp. J3株、Sphingomonas sp. KA1株などグラム陰性CAR分解菌のCAR代謝経路とそれに関わる遺伝子・酵素が明らかになっている。CARは初発酸化酵素であるcarbazole 1,9a-dioxygenase (CARDO)により、1位と9a位の炭素に2原子酸素が添加され(図1)、後の代謝経路によってアントラニル酸(AN)まで分解される。CARDOは(1)基質に酸素を直接添加するterminal oxygenase CARDO-O (carAaにコードされる)、(2)CARDO-Oに電子を伝達するferredoxin CARDO-F (carAc)、(3)NADHからの電子をCARDO-Fに伝達するferredoxin reductase CARDO-R (carAd)の3つのコンポーネントから成る(図1)。このような電子伝達鎖を有し、かつ、terminal oxygenaseにRieske type [2Fe-2S] clusterを持つ酵素はRieske non-heme iron oxygenase system (ROS)と称される一群の酵素に属する。ROSはその電子伝達コンポーネントのタイプによりclass IA、IB、IIA、IIB、IIIの5つに分類される。CA10株、J3株、KA1株のCARDOはそれぞれclass III、III、IIAに分類され1)、ROSの中では珍しく、\"terminal oxygenaseは同じ化合物を基質とし、互いに有意なidentity (>45%)を示す一方で、電子伝達コンポーネントのタイプが少なくとも2つある\"、という多様性が存在する。 本研究では、応用面・学術面でも興味深い特徴を有するCARDOの多様性について追求するため、新規CAR資化菌の単離を試みると共に、その結果、グラム陽性細菌としては初の報告例となったCAR資化菌のCAR代謝系について遺伝学的・酵素学的解析を行った。グラム陽性carbazole資化菌の取得(2)) 新規CAR代謝系遺伝子群(car遺伝子群)を取得するため、全国各地から採取した71サンプルを単離源とし、CAR分解菌のスクリーニングを行った結果、27株のCAR資化菌の単離に成功した。単離したCAR資化菌の属種を決定したところ、Acinetobacter、Acromobacter、Erythrobacter、Nocardioides、Stenotrophomonas、Marinobacterium属など、これまでにCAR資化菌として単離された報告のない属が含まれていた。中でもNocardioides属に分類された1株(IC177株と命名)はグラム陽性のCAR資化菌としては唯一の例となり、そのCAR代謝系に興味が持たれた。そこで、degenerated PCRにより、IC177株ゲノムからcarAa遺伝子ホモログの一部を取得した。その推定アミノ酸配列は既知のCarAaの相当する領域と49?45%程度と低いながらも有意なidentityを有していた。IC177株のcar遺伝子群の解析(3)) IC177株のcar遺伝子群の全容を明らかにするべく、IC177株ゲノムのコスミドライブラリーを構築し、上記のcarAa遺伝子断片を含むクローンを取得した。そのインサート17.5 kbのシークエンス解析を行ったところ、既知のcar遺伝子と有意な相同性を有するcarAaCBaBbAcAd遺伝子群とその上流に存在するcarDFE遺伝子群が見いだされた。これらcar遺伝子の推定アミノ酸配列は既知のグラム陰性細菌のものと29?67%のidentityを有し、それらとは遺伝子の並びが異なるなど、興味深い特徴を有していた。carAaCBaBbAcAd及びcarDFE両遺伝子群の直上流にはIclR familyに属する転写制御因子様の遺伝子がそれぞれ見いだされ、両遺伝子群が転写レベルの発現調節を受けていることが示唆された。carAaCBaBbAcAdとcarDFE遺伝子群について各々RT-PCR解析を行ったところ、CAR生育時に各遺伝子群はそれぞれが1つのオペロンとして共転写されていることが明らかになった。発現の誘導性を明らかにするため、CAR、AN、およびコハク酸を与えたIC177株のcarAaとcarDについて定量的RT-PCRを行ったところ、CARを与えた時のみ両遺伝子の転写の誘導が認められた。一方、IC177株のcar遺伝子の機能を解析するため、carAaAcAdの3遺伝子(それぞれCARDO-O、-F、-Rをコードする)を全て発現する大腸菌を作成し、実際にCAR初発酸化能を持っていることを明らかにした。この結果に加えて、carAaAcAdの推定アミノ酸配列より予想される電子伝達鎖の特徴から、IC177株は、ROSの分類においてclass IIBに属する新規なCARDOを持つことが明らかとなった。また、様々な芳香族化合物を基質として用いて、IC177株のCARDOを発現する大腸菌による休止菌体反応を行ったところ、IC177株はCARやナフタレン、ジベンゾ-p-ダイオキシンには高い活性を有していたのに対し、ビフェニルやジベンゾフランには低い活性しか示さず、これらの化合物に高い活性を有するCA10/J3株やKA1株のCARDOとは基質特異性が異なっていることが示された。IC177株とCA10/J3株由来CARDOの互換性の解析 本研究により、CA10/J3株、KA1株、IC177株由来CARDOはそれぞれが異なるタイプの電子伝達系を持つことが明らかとなった。それぞれのterminal oxygenaseコンポーネント同士は高い相同性を有するが、その電子伝達コンポーネントは異なるというCARDOが持つ特徴は、今まで詳細な解析がなされてこなかったROSの電子伝達メカニズムの解明に向けた格好の研究材料であるといえる。そこで、CARDOの電子伝達について機能と構造の面から解明を試みることにした。まずは、IC177株CARDOの3つのコンポーネントそれぞれについてHisタグ融合タンパク質として大腸菌内で大量に発現させ、FPLCにて精製酵素を調製し、同様にCA10/J3株の各CARDOコンポーネントも精製した。次に、電子伝達コンポーネントの互換性を解析するため、CARDOの再構成系に続いて活性検定系を構築した。その系にて電子伝達コンポーネントを入れ替えるなどして、互換性を解析した結果、CARDO-Oのみを入れ替えたものでは活性が検出されなかったことから、CARDO-Oと-F間の特異性が高いことが明らかになった。一方、CARDO-Rのみを入れ替えたものでは、活性が61?69%程度下がったものの、有意な活性を有していたことから、CARDO-Fと-R間の特異性は低く、互換性があることが明らかになった。IC177由来CARDOのX線結晶構造解析 前述のようにCARDO-Oと-F間の電子伝達には高い特異性があったが、タンパク質の立体構造はその特異性を決める決定的な要因の一つと考えられる。J3株のCARDO-OとCA10株のCARDO-Fの構造はすでに明らかになっていたので、本研究ではIC177株由来のCARDO-Oと-Fの単体状態でのX線結晶構造解析を行った。CARDO-Oと-Fをそれぞれ結晶化し、放射光施設Photon Factoryにて、それぞれ分解能2.3、2.0 Å反射データを収集し(4))、すでに明らかになっているKA1株のCARDO-O (Katsuki et al., 未発表データ)、CA10株のCARDO-Fの構造をモデル分子とした分子置換法による構造決定に成功した。 IC177株のCARDO-Oは3つのsubunitがドーナツ様の構造を形成しており、全体構造としてはJ3株、KA1株のCARDO-Oと似ていた。しかし、基質ポケットの入り口付近は、他のCARDO-Oとは異なり狭く、これが他のCARDOとの基質特異性の違いを生む要因と考えられた。IC177株のCARDO-Fはmonomerで、全体構造は楕円の球状であり、電子伝達に必要な[2Fe-2S]クラスターは分子の末端の溶媒に露出する部分に存在していた。以前の研究で、class III型CARDO-Oと-F (J3株由来CARDO-OとCA10株由来CARDO-F)の複合体(CARDO-Oのtrimer 1つに対し3つのCARDO-Fが結合)の立体構造が解かれ、タンパク質間で相互作用をするアミノ酸残基が明らかになっている(図2A、2C)(5))。そこで、class III型CARDO-Oと-Fの結合に関与する残基に相当するアミノ酸残基がIC177株のものでは立体構造上どこに位置するのかを調べたところ(図2B、2D)、class III型では結合に関与するアミノ酸残基はある程度集中して存在していたのに対し、IC177株CARDOでは、-O、-F共に結合位置がclass III型と同じと考えるならば、結合に関与する可能性が低い位置に見いだされるものがあり(図2D矢印)、class III型とIC177株のCARDO-Oと-F間で結合に関与するアミノ酸残基は異なる可能性が考えられた。 今後、IC177株のCARDO-Oと-Fの複合体の構造解析やコンポーネント間の親和性の解析など生化学的解析を行うことで、CARDOの電子伝達メカニズムについてのさらなる詳細が明らかになるものと期待される。これまでのROSの研究は反応特性や基質特異性が中心であり、電子伝達系に焦点をあてた研究は極めて少なく、構造に基づいた分子レベルでの解明を試みた例は皆無に等しい。本研究によるCARDOを用いた先駆的な研究成果は、この分野に重要な知見を与え、植物、昆虫など広く分布するROS類縁酵素の研究にも影響を与えるものと考えられる。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲22390"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"9792","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"イノウエ, 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