{"created":"2021-03-01T06:20:57.638239+00:00","id":4296,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"5fc9d937-f82b-4e0e-abe6-523b9adf531f"},"_deposit":{"id":"4296","owners":[],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"4296"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00004296","sets":["27:284:285","9:233:280"]},"item_7_biblio_info_7":{"attribute_name":"書誌情報","attribute_value_mlt":[{"bibliographicIssueDates":{"bibliographicIssueDate":"2007-03-22","bibliographicIssueDateType":"Issued"},"bibliographic_titles":[{}]}]},"item_7_date_granted_25":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2007-03-22"}]},"item_7_degree_grantor_23":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"University of Tokyo (東京大学)"}]}]},"item_7_degree_name_20":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(農学)"}]},"item_7_description_5":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"第1章 序論 炭素・窒素は細胞を構成する上で必須の元素であり、その代謝調節機構は古くから研究がなされてきた。炭素・窒素の各代謝については詳細な解析が進められてきたが、両代謝間に存在する「代謝間相互作用」機構については未知な点が多い。本研究は植物のモデル生物である単細胞性シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803 (以下Synechocystis) を用いて、炭素・窒素代謝(C/N)バランス調節機構の解明を目標として行った。シアノバクテリアはTCAサイクルの酵素である2-OGデヒドロゲナーゼを持たないため、2-OGは主に窒素同化反応で消費される。このため、窒素欠乏時には細胞内に2-オキソグルタル酸(2-OG)が蓄積し、この2-OGを介して窒素欠乏シグナルが伝達されることが知られている。従来、シアノバクテリアにおけるC/Nバランスの調節には、RNAポリメラーゼシグマ因子であるSigE、シグナル伝達因子PII、転写因子NtcAの3種の主要な因子の関与が示唆されていた。第一章においては、これらの因子に関する研究背景について概説する。 RNAポリメラーゼシグマ因子は遺伝子のプロモーター領域に結合し、転写を開始させるために必要なタンパク質である。シグマ因子は生存に必須な主要型シグマ因子(グループ1)、主要型シグマ因子と類似したプロモーター認識特異性を有するが生存に必須でないシグマ因子(グループ2)、主要型シグマ因子とプロモーター認識特異性の異なるその他のシグマ因子(グループ3)に分別される。Synechocystisのゲノムには9つのシグマ因子(sigA?I)がコードされており、このうち本研究ではグループ2シグマ因子であるSigEについて解析を行った(第2章、第5章)。PIIは細菌、古細菌、植物に保存されるタンパク質であり、2-OGに結合することでC/Nバランスセンサーとして機能すると考えられている。腸内細菌におけるPIIは窒素同化制御、窒素関連遺伝子の転写制御に働くことが知られているが、光合成生物におけるPIIの働きについては未知な点が多い。本研究では新規PII結合タンパク質PamAを同定し、その解析を行った(第3章)。NtcAはCRPファミリーに属する転写因子で、シアノバクテリアに広く保存されたグローバルな窒素制御因子であるとともに、2-OGにより活性化されることがin vitro転写系を用いた実験により明らかになっている。本研究では、Synechocystisの窒素欠乏時におけるトランスクプトーム解析を、NtcAと糖異化遺伝子群の関係を中心に進めた(第4章)。第2章 グループ2シグマ因子SigEは糖異化遺伝子群の発現を正に制御する1 Synechocystisグループ2シグマ因子SigEはそのプロモーター領域にNtcA結合部位を持ち、窒素欠乏時にmRNA量が増加することが知られていたが、その生理的意義や制御下にある遺伝子群は未知であった。そこで本研究において、マイクロアレイ、ノーザン解析を行ったところ、野生株に比べSigE欠損株では解糖系、酸化的ペントースリン酸(OPP)経路、グリコーゲン異化などの糖異化酵素遺伝子群の発現が減少していることを見いだした。また、OPP経路の主要酵素であるグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼと6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼの酵素活性も野生株に比べSigE欠損株では減少していた。さらにSigE欠損株はグリコーゲンの過剰蓄積、グルコース取り込み速度の低下、暗条件下での増殖不全などの表現型を示すことを発見した。これらの結果より、Synechocystis SigEは糖異化を正に制御する因子であることが明らかとなった。第3章 新規PII結合タンパク質PamAの同定2 かずさDNA研究所との共同研究により、PIIタンパク質全長をベイトとして、Synechocystisゲノムライブラリーを用いた酵母ツーハイブリッドスクリーニングを行ったところ、新規PII結合タンパク質Sll0985が得られた。Sll0985は7回膜貫通領域を持つイオンチャネル様タンパク質であり、COOH末端側の可溶性部分がPIIとの結合部位であることが予測された。Sll0985をPamA(PII associated membrane protein A)と名付け、In vitroにおける結合検定を行った。まず始めにPIIをCBD-tagとの、PamA COOH末端領域(475-680アミノ酸残基)をGST-tagとの融合タンパク質として大腸菌で発現させ、アフィニティークロマトグラフィーにより精製した。GST-pulldown、Far-Western解析の結果、CBD-PIIとGST-PamAがIn vitroで相互作用することが明らかとなった。また、2-OGをATPの存在下で解離することから、PIIとPamAは窒素充足時に結合し、窒素欠乏時に解離することが示唆された。 次にPamA欠損株を作製し、トランスクリプトーム解析を行ったところ、sigEを含むNtcAの制御下にある窒素関連遺伝子群の一部のmRNA量が、PamA欠損株において減少していた。野生株に比べ、PamA欠損株ではSigEのタンパク質量も減少しており、これに一致して糖異化遺伝子群のmRNA量も減少していることが明らかとなった。さらにPamA欠損株は、グルコース存在下で増殖できないという表現型を示し、これらの結果はPamAが遺伝的に窒素代謝、糖異化遺伝子群の発現を正に制御することを示すものである。第4章 糖異化遺伝子群は窒素欠乏時にNtcA依存的に発現誘導を受ける3 Synechocystisにおいて、窒素欠乏時にNtcA依存的に、窒素同化、窒素源取り込み遺伝子群の発現が上昇することが知られていたが、ゲノムワイドな窒素欠乏下での発現解析はなされていなかった。マイクロアレイを用いて、Synechocystis野生株の窒素欠乏処理、直前と4時間後の mRNAプロファイルを比較したところ、解糖系、OPP経路、グリコーゲン異化などの糖異化遺伝子群のmRNA量が窒素欠乏により増加することが判った。第2章での解析により、糖異化遺伝子群はSigEの制御下にあることが判っていた。従って、窒素欠乏時の糖異化遺伝子群の活性化にはSigEが関与することが示唆される。しかし、SigE欠損株を用いたノーザン解析を行ったところ、SigE欠損株においても窒素欠乏時の糖異化遺伝子群の発現誘導が検出された。このことから、糖異化遺伝子群の窒素欠乏下での転写にはSigE以外の転写因子も関与していることが示唆された。次にNtcAの変異株(NtcAタンパク質量が約50%に減少した株)を作製し、ノーザン解析を行ったところ、糖異化遺伝子群の窒素欠乏下での発現誘導が大きく減少することを見出した。しかし、糖異化遺伝子群のプロモーター領域にはNtcA結合部位が見られないため、NtcAはその制御下にある未知の転写因子を介して、糖異化遺伝子群の転写を窒素欠乏時に促進することが考えられる。第5章 新規SigE結合タンパク質ChlH, GSの同定 光合成生物において、糖異化は暗条件下に必須な代謝経路であることが知られている。第2章での解析により、糖異化遺伝子群は明条件下から暗条件下に移すことによりSigE依存的にmRNA量が増加することが明らかになった。しかし、SigEタンパク量は同条件下で増加しない。したがって、SigEは翻訳後レベルでその活性が制御されている可能性が示唆された。酵母ツーハイブリッドスクリーニングによりSigE結合タンパク質を探索したところ、クロロフィル合成酵素Mg-キラターゼのサブユニットChlHと窒素同化酵素グルタミンシンセターゼGSが結合タンパク質の候補として得られた。そこでSigEをHis-tagとの、ChlH、GSをGST-tagとの融合タンパク質として大腸菌で発現、精製し、GST-pulldown法による結合検定を行った。その結果、GST-ChlHおよびGST-GSがHis-SigEと結合すること、また、ChlHとSigEの結合はMg-キラターゼの生成物であるMg-プロトポルフィリンIXを加えると阻害されることが明らかとなった。次にin vivoでのSigEと結合タンパク質との相互作用を調べるため、SigE欠損株内のChlH、GSタンパク質量を調べたところ、GSタンパク質量は野生株と同等であったのに対し、ChlHタンパク質量が減少していることが判った。さらに、ChlH変異株(ChlHタンパク質量が野生株の30-40%に減少した株)では、SigEタンパク質量が、明条件下で野生株に比べ減少していたが、暗条件下ではその差が減少した。これらの結果より、SigEは明条件下でChlHタンパク質と結合し、暗条件下に移行するとChlHから解離し、一過的に糖異化遺伝子群の発現を促進するという作業仮説が得られた。第6章 総合討論 シアノバクテリアSynechocystisを用いた本研究により、窒素欠乏シグナルがPII, PamA, NtcA, SigEなどのタンパク質を介し、糖異化遺伝子群の発現を促進するという新しい炭素、窒素代謝間のシグナル伝達経路を提唱することができた。さらにSigEがChlHやGSなどによる翻訳後調節を受けている可能性が示唆されるなど、上記の因子は転写レベルから翻訳後レベルまで複雑な調節を受けていることが考えられる。今後はさらなる新規因子の同定とともに、上記因子の制御機構を詳細に明らかにすることにより、炭素、窒素代謝間における相互作用、バランス調節機構の全容解明が期待される。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_7_dissertation_number_26":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲22394"}]},"item_7_full_name_3":{"attribute_name":"著者別名","attribute_value_mlt":[{"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"9794","nameIdentifierScheme":"WEKO"}],"names":[{"name":"オサナイ, 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